さりげなくニュース2009.9.27


    アメリカの左派と言うとき、日本でのイメージとは幾分違うようだ。彼らは、FRBのバーナンキ議長の金融政策に反対デモをかける。日本では考えられないことだ。それに星条旗をかかげて愛国を前面に出す。我が国の場合は、日の丸を掲げようものなら右翼と相場が決まっている。アメリカの左派は、左派という一文字で馬鹿にはできない先見の目を持っている。反グローバリズムを掲げたデモではグローバリズムがもたらすであろう影の部分を的確に見据えていた。すなわち、巨大な怪獣が力があることをいいことにささやかな営みをする哺乳類の経済様式を時代遅れとばかりに強者のスタンダードに力ずくで変更を強いるものであった。その結果が制御のきかないレバリッジ金融に行き着いた。
 
 9月12日ワシントンDCでの前代未聞のデモでは、産業規制へとつらなる地球温暖化対策へも反対の狼煙をあげた。
 
 鳩山政権は早々と我が国の二酸化炭素25%削減計画を打ち出そうとしている。ここで注意しなければならないことは、地球温暖化キャンペーンは英米を中心とした新たなスタンダード作りなのではないかと疑ってみる価値は十分にありそうだ。
 
 9.12ワシントンDCデモの参加者は100万人近いとの見方がある反面、民主党寄りのニューヨーク・タイムスは、数万といった過少評価の報道をなした。我が国でも騒がれた西松献金問題での小沢氏追い落としに加担したニュースメディアにみるまでもなくニュースメディアの信頼性がアメリカでも問題になっている。
 
 アソシェイトプレスが興味ある世論調査の数字を発表している。それによるとニュースメディアはしばしば正確ではないと思っている人が三分の二に達している。ニュースレポートは真実を報道していると思っている人は29%しかいないという調査結果が出た。(2009.9.14THE ASSOCIATED PRESS)
 
 1999年の37%の数字と比べても信頼感が減じている。悪循環はニュースメディアの経営にも重くのしかかって来ている。
 
 広告料は新聞で29%までの落ち込み、テレビで12%といったところだ。今後インターネットやケーブルテレビ、サテライトラジオの役割が大きくなりそうだ。
 
 オバマ大統領はキング牧師の大集会をはるかに超える反対集会の洗礼を受け、今後苦戦を強いられそうだ。金融ばかりを保護して仕事のない状態をどうしてくれるんだと騒ぎだしてきた。現在完全失業率は10%近いが仕事を探す意欲を失った人を加えると15%を超えているとみられている。
 
 では現状のアメリカ経済はどうなっているのか。第二次世界大戦以来はじめての信用、賃金、家賃でのデフレが起こっている。(Telegraph:14 Sep 2009)
 
 通貨の先行指標である、金銭信託まで含めた広い通貨量M3は年率5%減少。M2は、8月24日までの4週間で12.2%の減少。このことは銀行の貸し渋りに直結していることを意味している。
 
 ドルをジャブジャブ刷って量的緩和政策のもと対外的にアメリカの借金はチャラにはいたしませんということの意志表示なのかバーナンキFRB議長の方向をいぶかる向きもある。
 
 「アフガンにはアルカイダはおりません」というアフガン最高司令官マクリスタル氏の爆弾発言が飛び出した。アメリカを唯一攻撃する敵がいるからアフガン戦争を始めたのになぜ今増派なのかという疑問がわいてくるのも至極当然である。
 
 オバマ氏の前途は決して平坦ではない。暗殺を危惧する英ノーベル賞作家ドリス・レッシングの発言が、なぜか脳裏をよぎる。