さりげなくニュース2009.7.12(NO.94)


   この4日北朝鮮はアメリカの独立記念日に合わせるかのようにミサイルを7発日本海に向けて発射した。
北の企業2社の資産を凍結、貨物船カンナムの追跡などによりアメリカによる締め付けが厳しさを増すなか、北朝鮮は制裁に反発している。直接対決も辞さない意志のあらわれででもあるかのように、軍事行動での誇示をなしている。
 
  北の核問題で、アメリカ側はあくまでも六カ国協議を推し進めようとしてきた。北はアメリカとの直接対話を求めてきたが、それはこれまで実現してはいない。
 
  5日付け読売新聞の社説は元気がいい。北朝鮮に出入りする船舶の貨物検査を実施するための特別措置法を国会に提出する。日本が包囲網の一躍を担えるように早期成立を図るべきと主張している。
 
  北朝鮮は船舶の検閲は戦争行為とみなすと宣言している。いざというときには戦争を始める覚悟がなくては北朝鮮包囲網などなしえない。
 
  今の中国のようによその国が、ガタガタ言ってくるようなら、ワシントンに原爆一発落っことしてやるがいいのか、とすごみをきかせる中国の本音をまねしようとも出来ない。我が国は国土の狭さという面から核戦略には向かない国土であるから、ひたすら平和を武器にする戦略をたてるのが現実的だという指摘がある。
 
  ちょっと横道にそれてしまった。中国と北朝鮮との間には軍事同盟である中朝友好協力相互援助条約がある。一方の国が戦争行為に入ったらもう一方の国は自動的に参戦しなければならないという軍事同盟である。アメリカはよほどのことがあってもイラクのように北朝鮮を攻め入ることは出来ない。また軍事同盟よりはゆるやかなロ朝友好善隣条約でロシアともしっかり結びついている。我が国が北朝鮮包囲網強化せよと発言する真意はいかようなところにあるのかを問われなければならない。
 
  中国に依存する北は実質的な中国の植民地に等しい。これはある面での現実である。現在横綱アメリカに対して大関中国が近い将来横綱同士で対峙する時、やんちゃな北朝鮮が、いくらやんちゃであっても中国に損はない。また、下種に、レアメタルの宝庫でもあるし、などと品のないとらえかたも出来る。
 
  中国にとって北朝鮮はいい事づくめのほうが多いのなら、飢えている北の民衆のために食糧援助をしたらどうなのかという疑問がわく。
 
  国連の機関であるWFP(世界食糧計画)は北朝鮮への食糧援助で悲鳴をあげている。北で食糧支援を必要とする人は870万人と見積られている。目標月間配給量4万トンが必要なところその10分の1しか届けられていない。[Guardian Wed. 1 July 2009]。WFPは資金の一切を各国政府や民間からの寄付に依存している。北が核実験をしてからは北向け寄付金が零とのことだ。
 
  中国とは直接には関係がないことではあるが、この3月北朝鮮に拘束された米ケーブルテレビ局の一人は中華系米国人記者(32歳女子)である。中朝国境付近で人身売買の取材中に北に拘束された。12年の強制収容所送りの判決がでて、米当局の救援の手が差し伸べられようとしているが困難をきわめている。ロサンゼルスタイムスは「北朝鮮労働キャンプ、二人のアメリカ人ジャーナリスト青ざめる程の展望」というタイトルで記事にしている。[LAT:June 9,2009] 
 
  北はここでも、些細ではあるがアメリカに対するカードを手にした。