さりげなくニュース2009.5.17(NO.90)


  中国の存在感が日に日に大きくなってきている。今回の金融危機で欧米の銀行がズタズタに影響を被ったのに対して、中国の国営銀行が無傷であったことによるものなのかもしれない。
 
 儒教のお国柄、生真面目な中国人のイメージを想像しながらEUの中心的な存在、サルコジ、フランス大統領に目を向けてみるのもおもしろい。
 
 左派日刊紙リベラシオン紙に掲載された記事をフィナンシャル・タイムス紙は取り上げている。
 
 先頃のロンドンG20サミットで、非公開のミーティングでの席上、サルコジ氏は、次のような人物評をしてしまった。サービス精神旺盛に口をすべらしてしまったのだ。「ジョゼ・ルイ・ロドリゲス・ザバテロは多分あんまりかしこくない」。「バラク・オバマは、意志決定や効率性でいつもスタンダード(合格)っていうわけじゃない」。「アンゲラ・メルケルは俺に従わざるを得ない」(FT:Apr. 16 2009)。
 
 EUをしょって立つドイツの首相メルケル評はシビアだ。ドイツの銀行が受けているダメージが相当なものであることを暗にほのめかしているようだ。イタリアの首相は先頃、妻から離婚を迫られた程の男で、サルコジ氏から、かく言われても仕方がない面がある。バラク・オバマ氏についての評は何を指しているのかはっきりしないが、たぶんオバマ氏は軍事的にはアフガンに軸足を据えながらもイスラムや南米への軸足はいまだ定まっていないという評価とも見える。ところでわが国の麻生首相をどのように評するだろうか。「漢字も読めない日本の首相」とでもなるのだろうか。日本のことを良く知らない人が聞いたら台湾か、中国出身者が日本の大統領になったのだろうかと思われかねない。
 
 それはそうと、横道にそれてしまった。中国がこのところ大きく見え出してきている。
[ワシントン=山本3/14産経]米イージス艦、調査船と合流 南シナ海で活動継続、というタイトルの記事があった。
 
 南海島沖75マイルのところで音響測定をしていたアメリカの調査船にたいして中国の漁船を含む5隻の船が妨害をしたというものである。南海島は中国の最新の潜水艦基地があるところで中国が相当にナーバスになっていると見られている。それも音紋が有事に際して原子力潜水艦を発見し、認識するのに決定的な役割を果たすといわれている。
 
 アメリカの合法的活動に対して中国はいちゃもんをつけるまでに力を蓄えている。
 
 ブッシュ時代全般にわたって無視され続けた南米への中国の進出がめざましい。アメリカは形無しである。
 
 ベネズエラへの開発基金を120億ドルへと倍増。アルゼンチンに100億ドルを超える人民元を提供、ブラジルの国営石油会社へ100億ドルの融資交渉[NYT:APR.16 2009]と巨額の資金を同地域にオファーしている。
 
 まもなくGDPは日本を超して世界NO2になるとみられている。これもあながち先のことではなさそうだ。ゴールドマン・サックスは今年の中国の成長率は8.3%と予想している。銀行貸出が堅調である。第1四半期の貸し出し総額は4兆5千億人民元と昨年一年間の貸し出し総額を超えている。
 
 当然6%台の成長率とみる悲観論もある。対外貿易は日本や欧米頼み、内需に穴埋めを強いるのは酷というもの、それが貸付依存といった捉え方である。だが中国の役割が大きなものになりつつあるのは確かなことだ。