さりげなくニュース2009329(NO.87)
バラク・オバマ大統領はイランに対して大きな譲歩をしている。
イランの新年に当たる祭りの時期に、一つのメッセージを発した。核施設に対する完全な査察をイランが受け入れるならば、平和利用の核開発は認めようと言うメッセージであった。ブッシュ時代には見られなかった譲歩である。
先頃イスラエルと戦ったパレスチナのハマスは多大な犠牲を強いられながらも生き延びた。またレバノンのヒズボラも同じように生き延びた。この両戦闘組織ともにイランの支援を受けている組織である。イランの中東における影響力が日一日と強まっていることと無関係ではないのかもしれない。
アメリカがイランに対して対話を求めるからと言って、無条件に中東における不安定化すなわちイランの影響力拡大までも認めることではないだろうが、現実はヨルダンに見るようにイスラム原理主義にさらされ始めている。
イスラエルとしては兎に角、早急にイランの核施設の空爆に踏み切りたいところであろうが、アメリカとの調整なくしてはなしえないというのも事実である。
イスラエルが早くイランを空爆しなければならない理由もある。
[MOSCOW,Feb.17(RIA Novosti)]モスクワで、イラン国防相、S−300ミサイル協定を協議という記事が流れた。
このミサイルシステムがイランに配備されるとイスラエルはおいそれとはイランを攻撃できなくなってしまう。
現在イランが持っている地対空ミサイルシステムというのは、一年以上前にロシアから7億ドルで購入したTOR−M1というもので、その性能は射程が1−1.2キロで二つの空中標的しか追跡できないしろものである。一方、S−300地対空ミサイルシステムにいたっては、最大撃墜距離が120キロで100の空中標的を同時追跡可能と言われている。
イランに売却する契約は終わっているもののロシア側はアメリカとの関係が良好な間は実施に移そうとはしていない。
ロシアはカードの温存をしているかのようにアメリカが中央ヨーロッパに進めようとしているミサイル防衛を牽制している。また、グルジア、ウクライナのNATOへの加盟問題に端を発するNATOの旧ソ連圏への圧力との関係も考えられる。
[Guardian,Tue.17March2009]ロシア、新兵器競争を宣言という記事のなかでメドヴェージェフ、ロシア大統領は核を中心に据えて国の戦闘態勢強化をなすと発言している。
メドヴェージェフ大統領はアメリカがロシアを旧勢力圏から追放するプロセスを進めているという認識に立って、アメリカは中央アジアの国々のエネルギーおよび鉱物資源を奪おうとしていると苦情を申し立てている。
ロシアは昨年度600万人の失業者を出した。国家崩壊後、安定した雇用情勢を維持していたがここ一年、ヨーロッパ並みの8%近い失業率となっている。
経済は決して楽ではない。ここ7ヶ月で株式時価総額は四分の三を喪失し、外貨準備も3,870億ドルまでに減じている。だが防衛への資源配分には手厚い。
[Mar.16(RIA Novosti)]ロシア銀行、中核企業への貸し付けで570億ドルの信用供与。
政府は防衛産業複合体を積極的に支援する方向に動いている。