さりげなくニュース20093.15(NO.86)
真綿でジワジワと首を締め付けられるような不景気の劇場を
一時忘れさせるような劇が始まった。
見所は、東京地検特捜部と豪腕政治家小沢民主党党首との対決
である。
師である田中角栄の秘蔵っ子である小沢氏は師のロッキード裁
判を一度も欠かさずに傍聴したと言われている。田中、金丸と
続いた政治と金の腐敗に端を発し、小沢氏は率先して政治資金
規正法の改革に取り組んできた。
小沢氏は法の裏の裏まで熟知していたはずだ。よもや、抜かり
などあろうはずもなかったはずだ。
また、裁判で勝ったとしても政治生命は完璧なまでに奪い取
られることは、誰よりも骨の髄まで知っているはずだ。
その小沢氏にして、検察のデッサンした蟻塚に一度足を踏み入
れるや悲しいかな、這い上がることはできない。それが宿命で
もある。
お隣の国、台湾の元総統、陳水扁の逮捕はマネーのロンダリン
グで妻が勝手にスイス銀行に送金したもので、俺は知らないと
陳水扁氏は主張する。さて、小沢氏は。
今回の小沢氏の場合は政治団体から献金を受けたものであり
政治資金収支報告書にもきちんと記載している。
一方検察側は、その政治団体はこれこれこうだからダミーで実
体は企業からの献金だ、おまえは認識していただろう。知らな
かったでは世間には通用しませんよ、との検察側の主張(証明)
である。
結論を急ぐならば、小沢氏は起訴された時点で政治生命を失い、
裁判では勝つかも知れないが、田中同様廃人となる可能性は否
定し難い。
話しは長く横道にそれてしまった。世界の不況はどうなって
いるのかに、話をもどさなければならない。
[テレグラフ:05Mar2009]ヨーロッパ中央銀行
(ECB)は、史上最低の1.5%までに利下げした。
ユーロ圏16の中央銀行は、かつてこれ程の低い金利を見た
ことがないと記事は伝えている。
ドイツの製造業は壊滅的な打撃をうけ悪化スピードは1930
年代よりも加速しているというのがもっぱらの捉え方である。
ドイツの場合はEUという政治結束団体を造ったばかりに経済
的にお荷物の国々の債務に裏書きをしなければならない忸怩た
る思いが燻っているはずだ。
かといって、二大基軸通貨を担わ
なければならないユーロも捨て、EUも崩壊させたい誘惑に駆
られるだろうが、そんなことをしたらヨーロッパ統合に踏み出
さなかった以上のマイナスとなるのは必定だという思いはある。
それにしても、イタリアの借金は来年までにGDP比111%。
オーストリアの対東欧融資GDP比70%。スペインにいたって
は言わずもがなで住宅の売れ残りは100万件と言われている。
負債額4,000億ユーロのアイルランドは、もう終わっている。
このまま経済成長路線を構築しないとヨーロッパは、失業の山
を築くことになり2009年の成長率はマイナス2.7%と予想
されている。
世界経済の巨人アメリカにいたっては、国家破綻をどう回避し
ようかというのが差し迫ったところだ。
ヒラリー国務長官などは、国債を買って下さいと中国に頭を下げ
るところまでいっている。
もし買ってくれないとなるや利回りが高騰することになる。その
弊害はすべての金利に跳ね上がり、米経済は益々の不況になり失
業率は二桁になってしまう。
最後の手段はFRBが米国国債を購入して連邦政府の破産を免れ
るということになるのだろうか。
GDP14兆ドルのアメリカに1兆ドルの需要不足が発生している。
これは成長率が8%近く落ち込むことを意味している。