さりげなくニュース2009.2.28(NO.85)


    米国務長官のヒラリー・クリントンは軽快に日本を訪れては、麻生首相の訪米日程を決めて、軽快に他のアジアの国へ去って行った。
 
  笑顔の奥では、アメリカの地を思うとき心中は穏やかではなかったはずだ。
 
  世界最大の銀行といえばシティグループである。その第4四半期の赤字は83億ドルに上っていた。国有化の懸念が指摘されだしている。
 
  それより酷いのは、連邦を構成している州の財政が軒並み悪化していることである。特にシュワルツネッガーのカリフォルニア州の場合は深刻である。今週中に70億ドル用意できなければ、先生への給与、消防、その他重要なサービスへの支払いが出来ないとワシントンに泣きつく姿があった。景気のいい時の支払い癖が直らずに、景気の悪いときも同じスタンスで支払いをし続けたところに原因があると指摘されている。カリフォルニアの場合予算全体に対して22%ギャップが生じていると報道されている。

  次いでギャップの酷い所はネバダ州である。それ以外でも軒並みほとんどの州が赤字で、そのしわ寄せは貧しい人の健康保険等に行き着いてしまう。
 
  世界最大の借金国アメリカにとって、死守すべきものは、基軸通貨としてのドルである。このことは反面、アメリカにとってのアキレス腱でもあることをアメリカ人は確証しているはずだ。だからユーロ圏からそそのかされて石油の決済通貨をドルからユーロに変えたフセインはアメリカから攻撃される羽目になり、また命を失うことになってしまう。

  基軸通貨の守護神であるアメリカのドルが近々崩壊するとしても、それまでは幾多の激動を世界は経験せざるを得ないのもまた宿命なのかもしれない。
 
  先頃のダボス会議でプーチンは吠えに吠えまくった。そのことに対して1月29日付けフィナンシャル・タイムスの社説では、ロシアには気をつけろ、というタイトルで論陣を張っていた。プーチンがドルの基軸通貨を味噌糞にけなすことにたいして、おまえの経済の足元を良く見てから物申せと言っている。
 
  プーチンは殺害されたフセインのなし得なかったドルの基軸通貨外しを粛々と狙っている。あちこちの国との二国間貿易にドルを使わないことを呼びかけている。それは、ロシアだからなし得る資格というものなのかもしれない。
 
  ゴルバチョフ時代にソ連崩壊のプログラムはアメリカによって組まれていた疑いが濃い。サウジアラビアと組んで1バレル10ドルと石油価格を低迷させてソ連の財産の三分の二を失わしめたとゴルバチョフは、先頃モスクワ大学での講演で発言している。[MOSCOW,FEB.20(RIA Novosti)]

  やがてゴルバチョフを継いだエリツィンの末期1998年にロシアはデフォルトした。国が倒産したわけである。
 
  自由と民主主義というイデオロギーで一つの国を潰すのに飽き足らず、今度はソ連圏の国々に米傀儡政権への革命をしかけてくる。ゴルバチョフは騙せても、情報機関出身のプーチンを騙すには相手がクレバー過ぎたのかもしれない。

  プーチンは後には引けないアメリカとの戦いに踏み出さざるを得ない。
 
  仮想敵国である中国とは懸案の領土問題を解決して手を握る。最近では、キルギスにあるアメリカのマナス空軍基地を使用できなくしたことは、プーチンの直近の意思表示と見える。アメリカはアフガン戦争の物資補給基地を失い戦略変更を余儀なくされる羽目になろうとしている。