さりげなくニュース200912.13


 普天間基地移転問題で年度内の結論が見送られそうな雲行きになった。知日派と言われるアメリカの関係者の発言を大手マスコミは精力的に扱っている。我が国に取り返しのつかない危機を招くという論調が多い。一方鳩山氏のブレーンと囁かれている寺島実郎氏はアメリカを訪れ、方々に、我が国は独立国家なのだから米兵の駐留はいかがなものかと説いてまわったという話しが聞こえてきた。平野官房長官の発言はとても戦闘的に響く。アメリカが怒ったからといってどうだ、と言わんばかりのトーンの発信をしていた。
 
 ところで、世界は経済問題で深刻さを深めているところだ。第二次世界大戦後よりも巨大な政府債務を各国とも積み上げている現実に直面している。
 
 我が国の地方都市である北海道の夕張市の破綻は基幹産業であった炭鉱の崩壊によるものであった。時代のエネルギー政策の転換という不可抗力的なかわいそうな面もあった。ただその後の町の産業運営に失敗したことがデフォルトにつながった。湾岸諸国の一角なのに石油が採れないドバイは似たようなケースだ。観光、不動産投資に力点を注ぐうちにバブルが弾けそれは蜃気楼と化し借金を払えなくなりデフォルト。
 
 かつて我が国が失われた10年から甦ることが出来たのは、世界経済の好調さが幸いしていた。円を低く抑えて世界に輸出を伸ばすことができた。今同じような手を使って経済的ピンチを乗り切れる世界の状況かと問われれば、そうではないとなる。世界はどこもかしこも借金だらけだ。まず借金の筆頭国アメリカ、全体の借金はGDPの350%である。財政赤字を毎年10%ずつ積み上げ、その債務は、GDPの125%である。ちなみに我が国は270%とイギリスの105%に比べても断トツに借金国家である。ただ、北海道を担保(冗談)に諸外国から借金をしていないから怖くもなんともないであろうが、ゆくゆくは、増税と言う見える形か、インフレ政策で、借金の価値を減ずる方法で国民の負担にかかわってくる。
 
 あの政治的に仲の良くないロシアがイギリスに借金の算段をなそうとしているという記事が目に入った。全くの驚きだ。
 
 ドバイの次は、ここ2年内外でギリシャ、ラトビア、ウクライナ、ブルガリア、ベトナムが続きそうだと警戒されている。
 
 オバマ大統領のAPEC(アジア太平洋経済閣僚会議)のフォーラムでの発言は悲痛に満ちたものであった。アジアの輸出国に向けたメッセージでアメリカのマーケットを食いつぶさないでくれ、自分たちの両足で立たなければいけない。今のようなアンバランスな政策を続けるなら国際関係はいつか辿った破滅の道だとスピーチした。(Telegraph:15 Nov 2009)暗に中国を念頭にいれたように感じ取れる。中国は安いドルに便乗して為替を操作していると諸外国からみられている。アメリカにとっては労働者までも食いつぶされると映るのかもしれない。2.3兆ドルの外貨準備を元手にゴールドを買っている。金準備を1,054トンまで、今年倍増させている。金相場に影響するものだから買い方にも工夫を凝らしている状況だ。ゴールドではインドも負けてはいないIMFが放出した半分を買い占めた。ドルを初めとする不換紙幣離れが続きそうである。また一般投資の世界では、デフレスパイラルに巻き込まれないようにショートでのテクノロジー、車、旅行株へ目を向ける向きもある。
 
 アメリカは、借金はチャラになど絶対にしません、と言い、一方債権国はペーパーマネーに疑心暗鬼といったところだ。