さりげなくニュース2009.1129
米軍基地で銃乱射事件を起こした精神科医の少佐はイスラム系移民二世であった。確か3年位前にも大学構内での銃乱射事件があった。これは韓国系の二世によって引起こされた事件でもあった。また両者に共通することは、たまたまなのか田舎町にあるヴァージニア大学出身者と在校生によるものであった。ガーディアン紙は「またバージニア大学か」という記事を組んでいる。ハサン少佐についてはイスラム過激派との接点があったという報道もあったが疎外感が根底にあったのではないかと見られている。エリートでもあり、それに精神科医という職業の者を狂わせるアメリカの病理というものはいったいどんなところにあるのだろうかと考えてしまう。
アメリカは失業の増大に静観して入られないところまできている。
失業率の捉え方としてより現実を反映しているものにU6というものがある。ハローワークで職を探しているというU3にとりあえずパートで食いつないでいる数字と探す気力も失せてしまった数が失業率のU6であるが、今現在それは17.5%に達している。ちなみに我が国の場合は10%程と見られている。
アメリカにとってこの17.5%の失業率は安閑としていられる数字ではないはずだ。以前号でアメリカの大学生が望む職につけないので中国で職を探すということを書いたが、若年層の失業率は30%近くまでいっているはずだ。
アメリカを筆頭に先進国は失業を輸出する中国に鋭い視線を向け始めた。ただ犯人は中国だけとは言い切れない。欧米の資本家にも弱みはある。安い労働力と安価な工場を手に入れるために広東あたりに進出する。かれらも同罪ではある。ただ中国当局の為替政策は弱くなっているドルへ人民元を1ドル6.83元に固定している。実態以上に元を弱くして輸出に有利な状況を維持している。その政策の結果としてドルを大量に買い続けるもんだからアメリカの国債をたんまりと保有し続けることになる。我が国と違って中国はアメリカに対して主権国家であるから保有国債を処分することも出来る。大量に処分はしないだろうがアメリカへの強力な揺さぶりとはなりえる。「国際経済システム固有の問題は提出されていない」との胡錦濤主席の発言を待つまでもなく積極的に過剰輸出の問題に対処しようという姿が見えてこない。諸外国はこの過剰輸出のせいでデフレに襲われ、その結果企業の倒産、失業の増大のスパイラルに見舞われている。
アメリカの巷に失業者が溢れ、街頭はデモの嵐に見舞われる状況になったら、大国中国にどう怒りの矢を打ち放つであろうか。大借金国が最大の金貸し国家に眼をつけざるを得なくなる。日米同盟の我が国を使って中国に揺さぶりをかける古典的手法は自民党政権時ならともかく今は、使えそうにはない。二進も三進もいかなくなったら米、カナダ、メキシコのNAFTA(北米自由貿易協定)にとじこもり自給自足の経済に立ち返るかもしれない。それをやられたら今度は中国が完全に破綻してしまうことになる。中国の国中にデモが荒れ狂い、中国共産党の支配は終焉してしまう。
胡錦濤主席の発言にも柔和さが出てきている。GDPの39%を占める輸出依存を国内の支出増強へとチェンジしていくという発言に変わっている。
中国を訪問したオバマ氏は人権問題では強くは出ず、形だけの発言に従事していた。落としどころの見えないアフガンに加え内政でも厳しい経済問題に直面している。「10月だけでも332,000戸が差し押さえになり、今年に家を失った米国人の数は大恐慌の10年間を越えた。貸付機関の差し押さえを待つ家は700万戸に上っている」(Telegraph:15 Nov2009)