さりげなくニュース2009.10.31


 民主党が300議席を得て政権に就いて、やがて数ヶ月になった。この間アメリカとの問題では普天間基地移転問題で揺れに揺れている。本音の部分では日米地位協定という被征服国家の立場からの脱却を胸のうちに秘めているために、そうやすやすとは自民党のごとく、すんなりとはいかないぞとの立場である。
 
 次に普天間基地問題に隠れてあまりニュースにはならないが、国庫に金がないという問題である。民主党の野党時代からの主張でもある子供手当て、医療、社会保障の政策実施、半世紀も待ってようやくやろうと思ったところ国庫には金がなかった。
 
 もっとも重大なことであるが、我が国が世界から揶揄されていることがある。地球上最高齢の社会として、日本は構造的衰退の実験場となっているというものだ。この問題は郵政民営化とも間接的に係わってくる問題でもある。
 
 アメリカの製造業は日本に押され立ち行かなくなった。生きる方向性を金融に求めつい最近まで栄華を欲しいままにしてきた。今度同じように我が国の製造業は中国の前に立ち至らなくなり、進路を別に向ける必要に迫られた。アメリカの先例に倣って金融国家になろうとした動きが小泉ー竹中改革と理解出来る。そのシンボル的なものとしてバブル崩壊時1,000兆円の個人資産である。郵政の金も新しい国家像を画く上で譲れない一線であったに違いない。しかし、現在そのもくろみは現政権によって完璧に葬り去られようとしている。我が国の進路はアメリカのような金融を主体とした国家としては歩まないという選択となりそうである。
 
 では、日本経済の現状はどうなっているのであろうか。トヨタ、ソニー、ホンダらの輸出業者の損益デッドラインは1ドル90円と言われている。24日現在の為替レートは1ドル92円である。先頃、榊原元財務官の円高も我が国にとって捨てたもんではない、といった発言もどこかに吹っ飛びそうな雲行きだ。藤井財務大臣もようやく無秩序な為替変動を阻止する、と発言するに至った。経済はリセッションを脱したもののGDPはピーク時の8%も縮小、輸出は円建てで36%の減少、給与は7.1%の減少、税収は、27%の減少と減少の数字をあげたらきりがない。きわめつきはインフレ以上に怖いデフレが忍び寄っていて、しかも深刻度を増しているという実態である。変動要因を除いた総合的な物価を表示する指数にコア物価指数というのがある。9月のコア物価指数はマイナス2.4%である。失われた10年間ですらこれ程に下がったことはないと指摘されている。物を買わないのは何かに、誰かに対して不安だから自らを守ろうとするためである。それなら政治の力で安心と安定を与える希望を提示しなければならない。あるいはこの車を買ったら取得税を免除するとか、大胆な施策をする必要がありそうだ。貯蓄率はあの消費国家アメリカをも下回り2%まで減少してしまった。また、驚くべきことにあの年金基金が今年、国債の売り手に回ったということだ。どういう経緯かは知らないが、我が国を信用しないぞといったメッセージと受け止められてもいたしかたない。現在国債の利回りは1.29%と非常に安定しているということは付け加えておかねばならない。
 
 テレグラフの記事が指摘する。「グローバルなクレジット・バブルが弾け、日本の輸出マシーンは壊れOECDの中で一番恐慌に見える」(Telegraph:29 Sep 2009)