さりげなくニュース2009.1.31(NO.83)
今、イギリスがお騒がせにして、しかもあぶなっかしい。[ロンドン21日共同]によるとロンドンで唯一の有料夕刊紙が売却される。と報じられている。それもよりによってソ連KGBの出身者に売却されたというから驚きであった。売却価格が1ポンド(約123円)は何を意味するのか。この新聞を引き受けた人物というのはプーチン元ロシア大統領と浅からぬ因縁のある人物であったことも話題を誘った。
ここでちょっと横道にそれるが、1ポンド123円が現在の為替レートである。ほんの先頃までは240円だったものが、一瞬にしてのポンド暴落である。アメリカと同じ形態の金融を推し進めてきたイギリスに抜き差しならない危機が迫っているような感じがする。それは、ロンドンっ子は全部この小売店で育ったといっても過言ではない
「ウーリーズ」という愛称で呼ばれている全英に800店舗を有する店が閉鎖に追い込まれたことにも見て取れる。従業員2万7000人が失業することになる。トヨタ自動車の半分の人が職を失うことになる。
話しを戻して、夕刊紙「イブニング・スタンダード」は創刊が1859年である。ロンドン近辺に通勤する人ならだれでも手にとったことがあるそれこそロンドンっ子とともに歴史を刻んだ新聞が他国の手に渡って生きながらえることになる。
イブニング・スタンダードを1ポンドで買ったロシアのアレクサンドル・レベジェフを一躍有名にした事件はプーチンに関係するものであった。「ノーバス・ガゼータ」といえば、チェチェン記事でプーチンに厳しく迫ったアンナ・ポリトフスカヤ女史が所属していた新聞である。これにはゴルバチョフ元大統領も関与していた。彼女は何者かにより彼女のアパートの踊り場で殺害されている。だが廃刊の決定的なものはプーチンとオリンピック選手との不倫記事を扱ったためにプーチンから決定的に弾圧を受けたことによるものであった。
イギリス経済大丈夫かという心配が聞こえ出した。1月21付のテレグラフはイギリスの苦境を逆手にとって強気だ。アイスランドは銀行を倒産させて負債を世界にばら撒く贅沢を味わうことができるがイギリスがそんなことをしたら世界大恐慌の引き金になってしまう。財務省は銀行とともにその罪をも受け入れる。
英銀行が積み上げた外債はリーマンブラザーズの8倍もある4.4兆ドルに上る。これはGDP(国内総生産)の2倍にあたる数字である。
イギリス債のリスクを測るCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)は史上最高の125となりポルトガルのすぐ下である。
格付け会社スタンダード&プアがイギリスの格付けAAA剥奪をやっきになって否定せざるを得ないところに逆にイギリス経済の苦境を感じ取れる。ただアイスランドなどとは違ってポンドは国際通貨であるという側面は否定できない。外債リスクをヘッジするためにデリバティブ契約を為替市場にもっていくこともできると言われている。もう政府はやっているのかもしれないと見られている。以前1976年IMFのお世話になったイギリスではあるが、二度の大戦も乗り切り、今を含めた何度かの恐慌をも経験している。なんといってもイギリスの強みは,覇権国家の片棒を担ぎ、映画でのヒーロー、ジェームズ・ボンドを輩出するMI6に象徴される情報戦で6000万人を養っていける強みは厳然としてある。
ところでアメリカとの関係でイギリスをいたく失望させていることが持ち上がっている。オバマ新大統領の最初の会談国がイギリスではなくフランスのサルコジでありドイツのメルケルであることだ。イギリスの戦略に修正を余儀なくさせられる予兆なのかもしれない。