さりげなくニュース2009.1.18
イスラエルという国は四方を敵に囲まれて、国家存亡の危機にある。いつも以上に危機的状況にあると首脳部は感じているのかもしれない。後ろ盾のアメリカが強いならどうということもない。しかし、後ろ盾のアメリカが以前のようには敵から守ってくれないとなると話は別だ。
敵とは、イランを筆頭にシリア、軍事組織のヒズボラ、それに今回問題になっているパレスチナ自治区ガザのハマスである。
ヨルダンやサウジアラビアなどは、アメリカが強い限りにおいて親米の仮面を被っているが、アメリカが弱そうだと足元を見られ始めるや雪崩を打ったように、これらの国々にアラブの自覚が芽生えるに違いない。
イラクのフセイン元大統領はこの犠牲者といってもいい。ことイランに関しては、まがりなりにもペルシャ帝国という番を張ったことのあるDNAを有している国でもある。イラクのような訳にはいかない。アメリカに楯突くもう一つの大国ロシアの陰もある。だがこの国は大国といえるのかどうか定かではない。なんといっても経済規模がアメリカの十分の一であるにすぎない。それに原油やガスに大きくおんぶしている経済であるために、いかようにもコントロールできるという弱点を持つ。世界の株式市場などに比べて原油の市場はとても小規模なため価格操作が割合にし易いということがある。ただロシアとイランの係わり合いで注目すべきは、ロシアからの軍事援助である。ロシアがアメリカとの交渉で4年程前から出てくるものにS−300先進防空ミサイルシステムのイランへの供与である。このシステムが完備されるとイランの戦略的に重要な核施設をいかなる空爆からも守ることが可能だと見られている。
一寸先が闇の国際情勢のなかでイランへの空爆を急がなければならないイスラエルの事情ということも見え隠れしている。
今回イスラエルはパレスチナガザ地区を支配しているハマスに空爆を敢行し、今、仕上げとしての地上軍を投入している。12日現在の、ガザ側の死者は821人、負傷者3350人となっている。
人口150万人が縦長の南北40キロ、東西5キロの中にひしめき合っているガザ地区。ここにイスラエルは過激派ハマス(選挙で選ばれた)を一掃すべく攻撃を継続している。
国連安保理に解決策を持ち込まれるもののアメリカはイスラエル寄りの姿勢を崩してはいず、まとまらない。
イスラエルの戦略的目標がどの方面にあるのかはっきりしない。最初にヒズボラの出方を窺がい、それを戦場に引っ張り出そうとしているのか。ただヒズボラの動きは、今のところはない。4月に選挙を控えているということや、2006年の対イスラエル戦争では勝ったが勝負では明らかに負けであり、尋常な被害を被った。
国が解決出来ないなか各国での抗議運動が激しさを増している。1月6日のヘラルド・トリビューンから拾ってみる。フランス南西部の地区では「パレスチナを民族浄化の標的にするな」というスローガンが掲げられ、ユダヤ教会施設への突撃、放火が繰り広げられている。これはスウェーデン、やイギリスにも見られる光景であり、ユダヤ人への暴行も発生している。
イランを挑発する手法が結果的にアラブ民族主義の台頭を呼び込んでいる、という指摘がある。
通りすがりに若者が「ユダヤ人を全員ぶっ殺せ」と叫ぶ光景は異常でユダヤ人は出身地を隠し、ヘブライ語を極力話さないように過ごさざるを得ないようだ。