イラク戦争時は反対を強く主張したフランス。アフガン戦争では3000人の部隊をだして、アメリカとのギクシャクした関係も良好なものとなっている。
自爆テロもエスカレートしだしている。4月27日のカルザイ大統領暗殺未遂事件発生。7月7日、車両自爆テロで58人死亡、100人以上の負傷者が出た。また、外国人や政府要人が利用する高級ホテルも自爆テロや襲撃のターゲットになっている。
タリバン報道官の発表によれば、外国人拉致も今後継続すると表明している。
我が国の外務省は首都カブール、ジェララバード、ヘラート、マザリ・シャリフ、バーミアン各都市に危険情報と退避勧告を出した。
現在のタリバンは、アフガンに侵攻した旧ソ連と戦ったつわものどもである。
軍事力は不明なところが多い。西側からの軍備供与はほぼ絶たれたと見られ、旧ソ連が撤退した時に入手したものや、当時アメリカから支援を受けた軍備が大半だと考えられている。推定では戦車1000両、地対空ミサイル「スティンガー」や「SA−7」。空軍ではスホイル22とミグ21が数十機有しているようだ。強みはなんといっても山岳地帯という地の利を活かした戦闘にある。
タリバンの拠点はパキスタン北西部の地域、パシュトゥン族自治州だと言われている。この地は先頃辞任したムシャラフ大統領の統治を受け付けず、反米を掲げるムスリム軍閥が跋扈している国境地帯である。親米のムシャラクをしても、アメリカによる地上軍侵攻を許可しなかった地である。タリバンは、この地でジハド戦士を補給してアフガニスタンに送り出しているとみられている。
9月3日未明、このパキスタン北西部の部族支配地域に駐留米軍地上部隊は進入して民家約15棟を破壊して約20人を殺害したという報道があった。部族との協調、対話路線に動き出した新政権にとって舵取りがいっそう難しくなりそうだ。
9.11事件を契機にテロを支援する国家はならず者国家と規定して、悪玉という色分けをする。アフガニスタンは憎きオサマ・ビンラディンを匿う破壊されるべき国家とみなされ、アフガン戦争は開始された。ところで、パキスタンはかつてタリバンを育て、一緒に戦った戦友でもある。情報機関の幹部の中には、タリバンに情報を流す者も出ている。一筋縄ではいかない複雑さがある。
「アメリカには少しづつ血を流させて死に至らしめる」というオサマ・ビンラディンの言葉から7年、アメリカの矛先はテロ撲滅からは主旨がずれて石油確保という欲得にかられたイラクの泥沼に足を踏み入れてしまった。大量破壊兵器所有という嘘のために国際的信用を落とすというオチまでついた。
現在アフガン難民は370万人以上であり、パキスタンやイランで生活している。国内避難民は100万人を超えると見られている。
クリントン時代黒字だったアメリカの負債は来年には1兆ドルに達するだろうと予想される。米国史上類のない亡国のブッシュ政権と、将来記録されかねない。
ただ、自分らには責任はないという陽気さをこの政権は持っている。