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さりげなくニュース2008.7.27


   WTI(ウエスト・テキサス・インターメディエイト)米の原油先物市場で世界の原油価格は決まる。ただし、中国のように一部、スーダンなどとの直接取引きのように市場を通さないものもある。
  
  2006年以降WTIでの取引は現物受渡し無しの金融投機が許されるようになったと言われている。こういう緩和策が投機資金の跋扈を招いたと指摘する向きもある。
 
  今、米上院での先物取引規制が行われたならば原油価格は間違いなく半分まで落ちると分析されている。
 
  この原油高騰は世界最大の石油消費国でもある米国の経済にも深刻な陰をもたらし始めている。また、高インフレに冒され始めている発展国、中国やインドにとっても例外ではない。
 
  産油国にいたっては現在EUからの輸入取引が拡大している。湾岸諸国の大半がアメリカとの安全保障という面からドルに自国通貨を連動させているため、下落するドルとともに自国通貨も弱くなっている。EUなどからの輸入物価は上がり、インフレの病魔が蝕むことになる。
 
  反面、原油高騰の恩恵を受けている国や企業もある。原油高騰を維持するには中東が、より不安定な状態にありさえすれば市場は敏感に高値に反応するはずだ。
 
  イランが原爆を保有してアラブのリーダーとして現代の歴史に登場することは、アメリカとしては戦争に訴えても事前に拒みたいというのが、一連の中東問題の本質であると思われる。
 
  ここ一、二ヶ月の間に硬軟、二つの動きがあった。
 
  6月上旬、イスラエルの戦闘機による長距離軍事飛行訓練の実施があげられる。これはイランの核施設の空爆を想定したものだと報じられた。それに対してイランは7月上旬ミサイル発射実験をなした。7月12日のBBCニュースによると、イラン政府関係者の発言として、イランが攻撃されたらイスラエル中心部と湾岸の32の米軍基地を攻撃するというものであった。
 
  ここからどのようなシナリオが見えてくるのか。ホルムズ海峡がイランによって封鎖される。我が国を初めとして中国や韓国などのアジアの被害が甚大なものとなる。ヨーロッパに関してはロシア経由のエネルギー供給があり、また原発があるためにダメージは少ないと見られている。アメリカにいたっては自国の石油とラテンアメリカからの石油も期待出来る。それに湾岸諸国からの莫大な復興ビジネスで経済は最高潮に潤いドルも復権をなすとの指摘がある。一見いいことづくめに映る。
 
  この時、原油は1バレル300ドルは優に超えている。

  こんなシナリオまでは考えてはいないだろうがアメリカにおける好戦派の代表格はチェイニー副大統領とネオコンであると言われている。イスラエルの野党右派リクードも好戦派とみられている。
 
  こういうジャブ合戦がおこなわれた後、アメリカはイラン革命以後断交していたイランに国務省ナンバー3を送り込んで安保理常任理事国5カ国プラス、ドイツとイランの会談に臨んだ。
 
  硬軟交えての動きだ。リップサービスなのかどうか、アメリカはテヘランに大使館的な窓口を開くことを表明している。国内の強硬派を抑えて対話路線を推し進めようとする国務省の意図を感じ取れる。