さりげなくニュース2008.6.22

　　　４月にハイチで食糧暴動が起こったが、それに続いて中米のホンジュラスでも大規模な食糧暴動が闘われた。一方、戦乱のアフガニスタンでは数百万人の飢えの危険が迫り来ていると報道されている。アフガニスタンの食糧はパキスタンとイランに負うところが大で、そのパキスタンが自国の市場を保護するために食糧輸出の削減を決定した。このため、アフガニスタン国内の食糧は更に高騰して小麦の価格は ２倍に、米は４０％近く高騰した。
　
　　ソマリアでは数千人の市民が食糧高騰に抗議して商店に投石を繰り返し暴徒化したと報じられている。
　投機を弄びぼろ儲けを企てる動きは実体経済におもわぬ陰をもたらし貧困層や弱小国に痛みをもたらしている。
　
　　米大手投資銀行のゴールドマンサックスから派遣されたポールソン財務長官の発言が気になるところだ。石油の高騰の原因は投機的なものによることを否定して需給のバランスによることを強調している。彼は数年前１バレル１００ドルを予想して確実に的中させている。今度２００ドルまで上がると予測を発表している。
　
　　もし、相場をつりあげたい市場関係者と高く売りつけたい供給者が談合したとしたら需給バランスを崩すことなく価格高騰を演出できると言われている。そこには米政府のなんらかの黙認か協調的なことがあってのことであると指摘されている。
　
　　最近、米上院で投機資金を規制する法案上程の動きがでてきた。
　
　　現在の原油先物相場を吊り上げているからくりに言及してある示唆的な意見がある。
　
　　国際石油価格を決定するのは、米先物取引委員会によって監視下にある、
米の代表的な原油であるＷＴＩの石油先物の価格で決まる。しかし投機資金は監視下にないロンドンにある企業が運営するネット上でＷＴＩの先物を買っていると指摘されている。問題になったサブプライム債券の売買を彷彿させるものだ。
　
　　投機を排除すれば１バレル１２０ドルの原油は５０ドルまで下がると言われている。現在、原油の採掘原価は１０ドルと言われている現状から判断すれば５０ドルは至極真っ当な値段である。このこととの関連で話しはちょっとずれるがロシアの経済を不安視する向きがある。ある一面的な見方の一つとしてロシアの冷戦における敗北の要因を原油価格の極端な下落に置く見方である。好景気に沸くロシアは国際政治的発言は強含みとなり政治的野心を前面にだしている。
　
　　今の原油高を一種の特需にしかすぎないととらえたとき、そこになんらかの国際政治の暗示を感じずにはいられない。
　中国も、日本も、欧米もまだ強いアメリカでいて欲しいと思っているために、ドルの下落にあわせて自国通貨を弱含みに連動させている。
　
　　アメリカはまだまだ強い。今、資金は現物のほうに向いているために現物が高騰している。それが弱者の実体経済に負の害悪を撒き散らしているが、やがて資金が従来通りに株式や債券に向かうとき原油価格は１バレル５０ドル程度に落ち着くと見られている。米のヘッジファンドや投資銀行が儲けにギラギラしている間は２００ドルまで行き着くと見る方が自然なのかもしれない。覇権国家ならではの風格かもしれない。