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さりげなくニュース2007.8.26


  中露と中央アジア4ヵ国、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、ウズベキスタンで構成される「上海協力機構」(SCO)初の軍事演習が今月の17日迄の9日間行われた。機構内の軍事協力を狙ってのロシア主導によるものとみられている。この軍事演習に先立つこと2005年ロシアは中国、インドとあいついで軍事演習をおこなっている。  
  
 従来この機構は中露主導の反米機構とみられていたが中国とロシアでは温度差がみられるようだ。中国としては極力反米を前面には出さずエネルギー需要国としての資源を求めて関係を強化したいというのが本音とみられている。一方中央アジアをとりこむ中露の覇権争いという面で両国の利害が対立していると見る専門家もいる。ただ両国ともにこの地でのアメリカの排除ということでは一致をみている。
  
 アメリカとしては中露を地球規模で封じ込めようとする計画を着々と進めている。ミサイル防衛(MD)システムである。手始めに2012年までにポーランドには迎撃ミサイル10基をチェコにはレーダー施設の建設を計画している。一方東からは日本が重要な役割を受け持つことになる。日本のMD関連予算は平成19年、当初予定の1,960億円から2,160億円と増額され対前年比56.5%の伸びとなっている。今年度中に運用開始を予定しているのはPAC−3(地上配備型の迎撃ミサイル)でありSM−3(海上配備型迎撃ミサイル)も配備予定。このミサイルシステムとともに世界最強の戦闘攻撃機、敵のレーダーに写らないステルス機能をもつF22の配備もある。
  
 迎え打つロシアとしてはレーダー網をかいくぐるミサイル、トーポリMの開発に乗り出した。また先頃中国ではロシアからの技術援助を受けた弾道ミサイルによる衛星の破壊実験に成功し宇宙軍拡競争の幕を開いた。
  
 アメリカの一極支配を決して許さないといった意思を感じ取ることができる。
  
 獰猛とも見えるアメリカの単独行動主義に対してEUは国際協調を骨子とした安全保障戦略を展開している。ブッシュ政権を民主化と市場原理という武器で軍事グローバリズムと経済グローバリズムを推し進めているととらえ、EUは国際法整備、独自の軍事構築に裏づけられた戦略的代替案を突きつけている。
  
 アメリカが軍事力を背景に世界政府をめざそうが、そんなことは無理なことだとするならばわが国としての方向性はどこにあるかはおのずと知れたこととなる。  世界の方向が多極化に向かわざるを得ないと見るならば、そこはEU、ロシアを含めたアジア、アメリカの三極体制を視野に入れざるをえなくなる。
  
 わが国はアジアの中でそれなりの信頼とリーダーシップを保持することによってアメリカと対等な関係を構築できるという指摘もある。今のままだと外交、軍事をアメリカに丸投げし、その反動は、市場を開放せよと言われればハイと言い、アメリカの財政難を救えと言われればダアと米国債を買い続ける。そんないびつな関係である。ここに国力を発揮する場がはたしてあるのだろうかと危惧する向きも確かにある。