さりげなくニュース2007.5.27

　　　地方は今二重の意味で攻撃にさらされている。人口の減少と老齢化はその一つだ。地方の財政にとって住民関係の税は企業から得られる税収より安定的だと見られている。団塊の世代は大量に退職し高齢化に伴う地方の負担は増え続けることになる。
　財政破綻した北海道夕張市は国策としての炭鉱閉山という特殊な事情に起因するところはあったものの、賃金カットなど多くのことをやったにもかかわらず持ち直すことには程遠く一般に知られているような結果を招いた。夕張市ほどの債務でなくても借金をかかえどう転んでも持ち直せない自治体がかなりあると見られている。そんななか政府の三位一体の改革は地方への税源委譲ということで自由に使えるお金が広がったと評価されているのもまた事実である。
　もう一つの攻撃は郊外へ郊外へと買い物客が移動し病院や学校までも広い敷地をもとめて郊外へ出て行くライフスタイルがある。市街地にはショッピングしたくてもするような店がない。こんな不便な所に住むよりは郊外に移り住もうという発想になる。もうここで市街地のドーナツ化現象の始まりとなる。際限のない郊外化ともなろうものならば道路、上下水道などの公共投資は増加の一途をたどり財政悪化に拍車をかけることにもなる。これに一役買っていると言われているのが郊外巨大ショッピングセンター（ＳＣ）の出現だ。キーテナントでもあるスーパーマーケットに衣料部門やアミューズメント部門まで備えた一大ショッピングゾーンである。破綻の危機に迫る地方都市の多くに共通してみられる光景だと言われている。なにもない田園のなかに夜の１１時までこうこうと明かりがともっている姿は別の見方をするならばそれは異常な光景なのかもしれない。
　高齢化社会にあって市街地が崩壊することが住み良い社会なのかという疑問を投げかける向きもある。またＳＣの問題は一人市街地商店街ＶＳ巨大ショッピングセンターの問題ではなく郊外ＶＳ中心市街地の問題でもあると見られている。望ましい都市像としてなにが好ましいのか都市形態とサスティナビリテイ（持続性）という見地から弱肉強食ではない美しい社会的コンセンサスが必要とされるという指摘がある。このへんの観点から青森県のコンパクトシティ構想はつとに知れ渡っている。駅前再開発ビルのなかにショッピングゾーンや公共施設を押し込んだものである。もしこれらの構想が強くＳＣを意識したものであるなら問題がありそうだ。それは箱物以前の土壌としてのソフトが醸成されているかということがキーワードとなるようだ。文化活動は盛んであるとか資源的に人々が流入する要素が育っているかなどがあげられる。
　地方都市のリーダーの頭の中に我が市は何を一番大切にするのか。一番大切だから校舎は一番立派に造るといったきっちりとした不動の核を持つ必要の大切さを指摘する者もいる。
　改正中心市街地活性化法の表面づらをなぞらえることに従事してはならないとの指摘もある。
　またＳＣの経営戦略の崩壊を指摘する向きもある。