さりげなくニュース2007.11.25
米連銀は9月中旬に0.5%の利下げをしたのを皮切りに10月31日には再度0.25%の利下げに踏み切った。この12月にも利下げが行われるのではないかと見られている。
アメリカの景気悪化にともなう利下げはドルに対する世界的信用不安を引き起こしている。ドルペック制をとる中国、香港、湾岸諸国はドルに連動して利下げせざるを得ずインフレ懸念が強まっている。
マネーゲーム国家アメリカ、米国企業収益の3割が金融収益と言われている。いまサブプライム問題に端を発したデリバティブ、CDO、SIVといった金融技術を弄して積み上げられた金融資産は債券の価格形成メカニズムの崩壊に直面している。このことを称して市場原理を重視する自由主義経済政策の終焉を指摘する向きもある。アメリカは世界経済に責任を持つという面から無駄に無駄を重ねての消費をなして世界経済を引っ張ってこざるを得ない宿命を負っていた。これは自国の製造業の崩壊を伴うものでもあった。
世界のGDP実質成長率は2001年の1.8%からずっと成長基調を維持して昨年は3.9%でここ5年間で世界のGDPは14.7%伸びている。この中には中国という5年間で57.7%という驚異的に伸びている国も含まれている。ロシアは6%台後半の伸びをここ5年間持続し、インドの8%半ばの伸び、ブラジルの3%台。これらBRICSと称される国々に世界の成長は移行している。
アメリカ民主党の次期大統領候補ヒラリー女史の外交指針に我が国への言及はなく中国重視に終始した印象を強く与えた。このことは中国の消費の潜在力が今後アメリカが担いきれない世界経済への牽引力への期待と尊重の現われと受け止められている。
アメリカは急激に中国に近づいている。ニューヨーク機関投資家(資本家)の代表格であるポールソン財務長官は投資銀行ゴールドマンサックスの会長からの転出組である。かれが中国の消費に強く関心をもっていることは周知のことである。アメリカの理性とは資本家がゴーサインを出さない限り戦争は起こさないという見方がある。大国同士のアメリカと中国は仮想敵国だとする見方は被害妄想の臭いがする。北朝鮮問題では中国に議長国の役割を与え、六カ国協議という舞台のなかで、実質的に二国間の主導という観すらあった。
アメリカ、カナダ、メキシコの北米三ヶ国による通貨アメロが囁かれているとき我が国はさもそんなことはあり得ないだろうとアメリカべったりのおんぶに抱っこの感覚に浸りきっている。ドル崩壊の受け皿として中国と日本は共通の通貨を視野に入れる土俵にあるという指摘がある。
アメリカが覇権国家であるために戦争をしたりエネルギーの支配にやっきになったり、いつまでも乳離れしない同盟につき合わされていることの効用に疑問を持っても不思議ではない。9兆ドルを超えて増え続ける財政赤字のアメリカ。それでも戦争を続けなければならない。
ドルの信用不安に伴い世界経済は危険な方向にひた走っているように映る。