さりげなくニュース2007.10.14
今回アメリカから発信された金融問題「サブプライム」。諸外国に波紋を投げかけた。一番強烈だったのはイギリスのノーザン・ロック銀行の取り付け騒ぎであった。英中央銀行が緊急融資することで収拾をみた。他にもこの四半期決算で明らかになったものにスイスの大手銀行UBSが790億円の赤字見通し、それに独ザクセン州立銀行は資金調達難に陥り他銀行に買収される。本元のアメリカはどうか、米銀行最大手のシティグループでは前年同期より純利益が六割減といったところだ。今回、欧州が甚大な損失を被ったのはリスク評価の技能に劣ったからだと指摘する向きがある。
サブ プライム、すなわち最上級の次という意味するところは、上客ではないということである。上客でない者に住宅を担保に金を貸して焦げ付きを発生させたということにつきる。そのリスクを特殊な技法を駆使した証券に練り直して、あたかも格付けが優良であるかのような金融商品に仕上げそれを購入した欧州の銀行に被害が発生したという図式である。
欧州側は危険な金融商品の規制に乗り出す姿勢を見せ始めた。それに対してアメリカ側は十月のG7蔵相会談に先立つ先月の17日ポールソン米財務長官をを派遣して規制の動きを阻止することに成功したと報じられている。こんな規制は米国の金融の覇権を弱めるもの以外のなにものでもないはずだ。アラン・グリーンスパン議長の発言「起こるべくして起こったアクシデント」に良く表れている。住宅バブルであることは以前から認識していたものと見られている。日本などはリスクに脅えてゲームにすら参加しなかった。その者を見習えと言わんばかりだ。だがこの構造をつくる作業に参加した一人として主犯の一人と目されている。
今回の住宅ローンを抱えたサブプライム層とはいかなるランクの人々なのであろうか。信用力を示すFICO点数というのがある。最低700ないとプライムとは言えず今回問題となっているサブプライムは620を下回っていたと言われている。この住宅債券を他の消費者金融債券、自動車ローン債券などと混ぜ合わせてCDOという証券に作りあげた。格付け査定の難しさも相まって被害の拡大を結果的に招くことになった。その長期的損失はFRB(米連邦準備理事会)の試算では1,500億ドル、IMF(国際通貨基金)の試算においては最大2,000億ドルと見ている。
今回のサブプライム問題ではアメリカの大勝という見方がある。アメリカが開発した金融商品は国内の金融市場で試され海外で売り出される。最終的には新興金融市場まで行き着き信用不安の最終段階では行き場を失った資金は現在最も安全と思われている米財務証券へと向かう。このように図式化する見解もある。
バブルといかに向き合うかということはいかに大きな商機をつかみうるかと連なっていく。10年国債の利回りが4.3%、一方S&P500指数(米の著名な株価指数)が6.85%。両者の差が2.5%も離れたのは初めてのこと、米株式の割安度が際立っていると指摘されている。