さりげなくニュース2006.9/24

 我国の固有の領土である北方領土で先頃カニかご漁の若い船員が銃殺された。坂下登船長は蜜漁の罪で起訴された。ロシアの実質支配化にある北方領土をあらためて意識させる事件であった。
 小泉政権の5年間は北方領土問題でどれだけの進展をみたのか今改めて問われようとしている。
 戦後の日本外交の最大の失態は橋本首相時代の「クラスノヤルスク」外交であると指摘する向きがある。これはエリツィン幻想に明け暮れた外交と表現されている。「とりあえず北方領土は日本の領土であるという前提のもとで、納得のいくまで交渉しましょう」という発言に見られるように仲良しクラブの域をでていないと感じられてもいたしかたない姿勢と映る。中国がかつての大英帝国を向こうにまわして恫喝まがいに香港を分捕った力量に比べうるもない寂しさだ。最大の外交汚点と言われてもしかたがない。剣道の奥義に流れるものには国と国の攻めぎあいにも和という精神があるかのようだ。当時のソ連は崩壊寸前で対外債務の支払いもままならない状況下であった。そこから勝ち取った文言は北方領土問題は四島の帰属問題だと4という数字を引き出したにすぎなかったと指摘されている。
 現在石油高騰で国家経済を磐石なものとしているプーチン政権は2004年12月のクレムリンでの内外記者会見で56年の日ソ共同宣言がロシアにとって義務的なものであることを改めて述べ、同宣言によれば二島返還で帰着するのであり日本側が四島返還を要求しているのは若干奇異に思えると発言している。
 2006年6月のG8各国の通信社代表とプーチンの会見で日本は日ソ共同宣言の履行を一方的に拒否し露側が同宣言に戻ることを提案したにもかかわらず日本はそれを望んでいない旨発言している。(日ソ共同宣言第9項、色丹、歯舞については平和条約締結後に日本に引き渡すことに同意。1956年)
 つい先頃、四島に固執しても解決をみないという考えのもと妥協策を解く論者がいたがこの無責任な発言がどれだけ日本外交の足を引っ張ってきたかと指摘する識者もいる。領土主権に対する政府の厳然たる対応のあるなしで我国の尊厳と国家存立が決まる。不法に占拠された固有の領土である北方四島に対する我が政府の腰の引けた対応はすぐさま周辺諸国に学習され竹島や尖閣諸島に跳ね返る。
 4人の首相候補者の口から北方領土の単語はでてこない。北方領土に対する首尾一貫性と四島返還の火を絶やさない強い決意が揺らぐとき北の海はロシアの独断場となり南シナ海を通る我国のシーレーンは中国の管理化におかれてしまうと考えても不思議でない。 東アジアは21世紀の現在にあるのではなく19世紀の帝国主義的世界のただ中にあると、少しでも認識があるのか戦後世代の新首相の国家観の真贋が問われそうだ。
 ところで中国という国は日本など比べ様もなく外交上手な国だ。靖国というとてつもなく些細なカードをいかにも大きく見せ効果的に揺さぶりをかける。こんな隣国とハンディなしでの付き合いができるのか戦後生まれ政権の力量が試されるところだ。