さりげなくニュース8/27
今世紀は天然資源をめぐる植民地獲得競争の19世紀と似通った様相を呈してきた向きがある。200年間も西洋列強に侵略され続けた中国はここにきて石油という資源漁りを続けアメリカの神経を逆撫でにしている。「13億人が自動車に乗り出したら石油資源がもたないだろう。自転車に乗っていればいいんだよ」といった蔑視の発言がある一方で原油の安全保障政策を先進国と共有させ代替エネルギーの開発や省エネにも力をいれさせる方向に世界は努めてもいる。
アメリカとイランの代理戦争でもあるイスラエルとヒズボラの停戦はこの14日に発効した。この暴力にイラン宗教指導者は危機を招き誘発させることにためらいを生じさせることになったのか。あるいは核問題での六ヶ国の哀願ともとれる弱腰と同様のものを読み取ったのか。イスラエル国内でも戦争遂行に不満の声があがったイスラエルの戦争能力にある限界が露呈した。「この地上からイスラエルを抹殺する」と公言してはばからないテヘランがペルシャ帝国の夢をこの地に再現しようとする意図があるならアメリカをはじめとして核問題の交渉当事者である六ヶ国にとっても、とうてい許し難いはずだ。そのなかでひときは異質な存在が中国である。アメリカにいわせるとイランと中国とは「悪魔の取引」関係を築いているというものだ。原油と武器のバーター取引のことをさしている。イランを助長させている一端には中国の存在が大きいと言われている。国連安保理が核問題でイランに対して軍事制裁する決議をすることになっても中国が拒否権を発動することで切りぬけられると目論む。
イラン接近をはかった中国政府の姿勢は相当に危なっかしいと見られている。アメリカが打算の計算での対応の段階ならまだしも法律的、道徳的方向に政策が動き出したとき不気味だと指摘する向きがある。我国の田中政権の際中東戦争が勃発し来日してイスラエルへの全面支援を頼むキッシンジャー氏に対して田中角栄はアラブから石油を止められたら同じ量アメリカは売ってくれるのかと発言した。それに対するキッシンジャー氏の返答は、できかねるというものであった。田中は返答として、それなら貴下の言うとおりにはできないではないか。この返答にはキッシンジャーをとおして伝えられた米国中枢部は激怒したと噂された。その後田中角栄はどんな道をたどったかは周知のところである。このことを思い出させるのが劉振堂・駐イラン中国大使の「イランが石油を売ることを妨げるなら、米国はわれわれに同じだけの石油を売ってくれるのか」と語ったと伝えられている。(我国はイランにアザデガン油田の権益を持つ)
米国が単独支配的立場を維持するには旧ソ連に変わって台頭する新たな軍事大国を抑えることが必須なことであると規定している。たまたま9.11事件でイラク戦争や対テロに方向が向いているが本命はあくまで中国封じこめであることに変わりはないはずだ。ある有事シミュレーションでは中国が「ひとつの中国」政策を武力で敢行するときを待って軍事の火蓋はきられるという。