さりげなくニュース2006,6.11
経済協力開発機構(OECD)は30ヶ国の加盟経済担当大臣が出席して5月の23日に開幕した。世界経済の不安定要因となっている原油高への対応が話し合われた。中国、インドが台頭するなかで先進国の経済をいかに成長持続させるかが協議の焦点になった。
各国の経済見とおしも発表され我国の今年の経済成長は実質成長率を2.8%とし、来年の見とおしは2.2%の成長を予想した。プライマリーバランス(基礎的財政収支)に関しては日本政府の掲げる10年代初頭に黒字化するというものを不充分として黒字額をGDP(国内総生産)比1〜2%になるよう求めてきた。
我国の長期国債の格付けは先進国に比べて大きく溝を開けられているのが現実だ。一度モラトリアム(債務返済猶予)をなし国家破産を経験したロシアのBBBは別格としてもAAマイナスは韓国やボツワナよりワンランク上といった水準である。トップ格付けのAAAないしはAaaは米、英、独、仏、カナダである。これらの国よりも3段階乃至は5段階低くみられている。(スタンダード・アンド・プアーズでAAマイナス、ムーディーズではA)。我国の改革路線を堅持しなければならない必然が示されているようだ。
原油高で国家経済を磐石なものとしているロシアでこの7月に主要国首脳会議が開かれる。このサンクトペテルブルク・サミットでプーチン、ロシア大統領はアメリカという外圧に屈しない強いリーダーシップの場と位置付けている模様だ 米露二国間の現在の関係をかつての冷戦になぞらえて「冷たい平和」と表現している向きがある。軍事力ではとても太刀打ちできない巨大アメリカを前にしてロシアは外圧をはねのける強大な軍事力と自国の軍事拡大を位置付けてこの原油高を背景に毎年二割程度の国防費の伸びを示している。
現在旧ソ連圏において米国とロシアは激しい勢力争いを展開している。親米色を鮮明にしたウクライナ、グルジアは5月に隣りの国アゼルバイジャン、モルドバを誘い新しい国家組織を発足させた。このEUやNATOに目が向いている国に対してロシアは資源外交を武器に締め付けに躍起だ。
冷たいながら平和と言うくらいだからアメリカ側の利害も見え隠れする。ブッシュ米大統領の一般教書演説でも示されたようにアメリカは中東からの原油依存脱却がある。エネルギー供給源の多角化という点からもロシアからのエネルギー輸入に前向きなアメリカの方向が見えてくる。
なにかといえば人権を持ち出すアメリカが目障りになりつつあるプーチン。なにかにつけ中国、インドとの関係強化に努めている姿は二国間外相会議を頻繁に開催しているところからも窺い知れる。
対米牽制を視野に入れたロシア。日米同盟を米国によるロシア包囲網の一要素であるとロシアは否定的な反応を見せているとの指摘もある。。
オイルマネーに潤うロシア、それにどのようなジャブを打つのかローマ帝国なみの一極支配を確立したアメリカ。7月のG8サミットは近づいている。