さりげなくニュース2006,5.28
温室効果ガス排出量について法的拘束力ある数値目標を各国ごとに設定した京都議定書に署名、締結した国は100ヶ国を超えている。石油に依存した使い捨て文明が環境を維持できないものだと認識されだした。それは今年一月のブッシュ米国大統領の一般教書演説のなかでうかがい知ることができる。「2025年までに中東からの原油輸入量を75%削減する」という政治的発言という面を差し引いても使い捨て経済へのなんらかの示唆と受けとめ得る。
このことは年率8%成長をつづけている中国の存在そのものと無縁ではないはずだ。現在石油の消費量を除いて基本的な資源の消費量でアメリカを上回ったことである。このままの成長が維持されると30年代の早い段階で一人当たりの個人所得はアメリカを超えると言われている。石油の世界日量生産は8,400万バレルであるが推定人口14億5000万の中国の登場で日量9,900万バレルの石油が必要になると試算されている。
ブッシュの一般教書演説があながち政治的発言だとは言い得ない。
化石燃料に変わるクリーンなエネルギーが期待されているところでもある。欧州は風力エネルギーに先頭をきっているが住宅用電力として4000万世帯がその恩恵を受けていると言う。主力になり得るエネルギーなのかと言われた場合決め手に欠くのは否めない。
地球環境回復への取り組みが盛り上がりをみせはじめている。予算的裏付けにちょっと思考をめぐらしてみると相当なことが将来的に可能である。ある試算によると地球環境回復に要する予算は1,600億ドルもあればいいと。化石エネルギーに変わるエネルギーの開発やもっと大切な世界の貧困を根絶して人口を安定させることも視野にはいっている。予算的裏付けというときアメリカの軍事予算5,000億ドル近い額に行きつく。この額は中国、ロシア、NATO加盟国の全部の軍事費を合わせた額よりも多いと指摘されている。環境に向ける裏づけは十分に担保されていると考えられる。
まだ実用化までは程遠いが水素エネルギーがクリーンなエネルギーということで俄然注目されてきている。エネルギー変換効率が10%まで向上すれば化石燃料との競合が可能になると言われている。水素経済社会が実現するためには水素生成に係わる外部エネルギーの供給コストが水素の生み出すエネルギー価よりも小さくなければならない。日本はこの分野では期待されている。今一番注目されているのは光触媒を使っての生成である。太陽エネルギーを水素エネルギーに変換するというもので変換エネルギー効率が8%の段階まで来ていると言われている。この分野では日本も遅れをとってはいない。光触媒等の光電気化学研究の面で期待されている。実用化にはほど遠いようだが触媒のメカニズム解析が進むことによって実用化に近づくものと期待されている。その他にエタノールから水素分子を取り出すのは割合に手軽にできるようだが原料のトウモロコシの生産にも限界があるという欠点がある。爆発性のある水素の貯蔵技術の問題も課題として立ちはだかっている。