さりげなくニュース4/9
先頃、橋本元首相の一行は中国を訪問し胡錦濤国家主席と会談した。
この席で胡錦濤氏は日本が靖国神社参拝を止めればいつでもトップ会談に応ずると、今回は間近に控えた訪米を前にズバリと考えを述べたことが注目される。橋本元首相はそれに対して明言を避けた。小泉首相サイドとしては従来通り内政干渉であるという姿勢を崩してはいない。
靖国神社参拝問題に関連して中国政府高官の簡潔な一言が中国側の心情を良く表現していた。「ドイツ国民がヒットラーの墓前に参拝する姿をはたして想像できるであろうか」。
昨年の12月中旬に行われた東アジアサミットにおいて日本は中国はもとより韓国との首脳会談もできなかったばかりでなく日中韓の三者会談までも断られた。我国は、中韓を牽制するかのようにインドやオーストラリアと会談していた。従来親日であるマレーシヤやタイの対日感情にも変化が見られ始めていると指摘する向きがある。東南アジアの人々もこれだけ靖国、靖国と騒がれ続けることによって靖国を知らない人がいなくなった。
地理的にも東アジアには属してはいないインドやオーストラリアを無理やりに東アジアサミットに入れた日本の説得力は非常に弱いものに見えた。アジアで孤立する日本の姿を白日の元に顕にした。胡錦濤の発言と同じことをアメリカサイドから発せられた場合、政権内はいかような反応をするであろうか。我国を非常に卑下した表現ながら、第51番目の州にしてそれは、中国ごときから言われる比ではないということに集約されるのかもしれない。こういう笑いごときことではなく、「政冷経熱」状態が続くことによる、今や日本の最大の経済パートナーへの悪影響を危惧する見方がこれまでにも増して出てきた。
2月3日に日本経団連による「企業人政治フォラム」が公表した会員企業管理職や役員を対象にしたアンケート結果によると次期首相にふさわしい人として安倍晋三官房長官の43%、福田康夫元官房長官の18%であった。もう一つの調査である日経新聞社の二月中旬の世論調査によると断然トップを独走していた安倍に対して福田は倍増の13%の数字となっていた。(安倍は12月の調査から5ポイント減らしての38%)。
小泉なら他国より指図されるいわれはないと言い得ても安倍の場合は国家主義思想に裏打ちされた確信的行動と、靖国にたいしては諸外国から見られるという危惧を指摘する保守党幹部もいる。世論調査の数字がどう推移するか目が離せない。
一昨年5月に起こった上海領事館員の不当な情報収集に係わる自殺問題で館員の遺書を読売新聞はスクープした。外務省としては情報洩れの身内探索とウイーン条約違反うんぬんの発言に余念がないようだが古典的色仕掛けに陥る脇の甘さをむしろ糾弾すべきという見方もある。小泉首相の見解は情報世界にありがちなことという見方に終始していた。