さりげなくニュース3/26
中国胡錦濤国家主席はこの4月に訪米することになっている。それへの地ならしが所々で目に付く。江沢民・中央軍事委員会主席(当時)の辞任をスクープしたNYタイムスの中国人スタッフ趙岩氏に対する国家機密漏洩罪の起訴取り下げ、釈放。それにチベット独立要求デモで拘束されていた尼僧ニドルさんの米国への出国許可と米政府が懸念する人権問題に柔軟な姿勢を見せている。経済面では2000億ドルを超える対中貿易赤字にいらだちを隠せない元の対ドルレートの切り上げ問題がある。中国側としては不当な為替操作国というレッテルだけは避けたい。3月17現在の対ドルレートは中国人民銀行が提示した1ドル8.0286元となり人民元切り上げ以降上昇率は1%を越えた。アメリカへの期待に応えようという意思を感じとれる。
中国の懸念材料は軍事予算の急激な伸びに見てとれる。中国は今年の国防予算案を約350億ドルと公表しているが米国防省推計では700億ドル超で日本の465億ドルの2倍以上と見ている。 中国にとって戦力強化は台湾周辺での有事対応と対米抑止にあることを明確にしている。96年の台湾海峡危機で米軍は空母2隻を台湾海峡に派遣し中国に先駆けて海上封鎖をしたという苦い経験を持つ。
04年沖縄海域での中国原子力潜水艦の日本領海侵犯事件が記憶に新しい。海底資源確保の狙いから中国海軍は従来の「第1列島線」(日本列島、台湾、フィリピン)から小笠原諸島、サイパン島、グアム島のラインへ行動域を広げてきていると見られている。