さりげなくニュース2/12

   先頃ブッシュ米大統領による一般教書演説が行われた。
 パレスチナではアラファト自治政府議長の死去した後、後任のアッバス議長を全面支援してきたが今回の議会選挙ではイスラム原理主義のハマスが大勝して、混迷を深めている。米国にとって切り札であったイスラエルのシャロン首相は病に倒れた。イスラエルも先行き不透明である。こんななかでの一般教書演説であった。
 世界の半分は民主主義国家であるがそうでない国としてシリア、ミャンマー、ジンバブエ,北朝鮮、イランの名前をあげている。
 共産党一党独裁体制を敷く中国に対しては、「新たな競争相手」とインドとともに位置づけている。
 かつて共産党一党独裁体制のソ連とは長きにわたって冷たい戦争を続けてきたのとは裏腹に一方の強力になりつつあるプレイヤーと位置付けているのは注目に値する。 中国が現在表立ってイデオロギーの輸出をしていないという厳とした事実がある。非民主主義国家へ援助するのもエネルギー戦略にもとづいているといった経済的背景がある。
 今年の一月北京での日中政府間協議で崔天凱外務省アジア局長の発言が中国の常識とはどういうものかを表現しているものであった。中国では良い報道がなされるようにメディアを指導している。日本政府も指導すべきだと、マイナス報道ばかりする日本のメディアへ苦言を呈している。
 昨年暮れからの中国の情報隠しはロシアをも巻き込んだ騒動になったことは記憶に新しい。吉林省の化学工場爆発によるベンゼン流出事故が上げられる。ベンゼンは松花江を汚染し下流のアムール川に流れ込んだからロシアが黙ってはいない。それでも当局が汚染を確認してから五日後の発表であった。この体質はさかのぼる事〇三年に起きた大騒動、SARSである。当局は情報を隠し続け被害は外国にも飛び火し死者八百人に達した。似たような情報隠しはゴルバチョフ就任一年前に起こったチェルノブイリ事故がありそれを契機にグラスノスチ(情報公開)は一気ににすすんだ。やがてソ連社会主義体制は崩壊というおまけまでついた。中国ではそのような方向には進まなかった。経済が順調であるということが一番の違いであると指摘されている。公害がらみの抗議で三万人以上の村民が暴徒化してもメディアを規制して乗りきっている。
ところがここにきて豊かさを謳歌している都市部の人も環境の問題では情報を欲しがるようになった。この都市部裕福階級のなかから政治的民主化への要求が息づき始めてもおかしくはない。かれらは共産党の審査を通らなければ候補者になれないという仕組みにやがて疑問を持つかもしれない。