さりげなくニュースNo.311
「腐っても親分アメリカ」http://yumin.tyo.ne.jp
わが国の10年もの国債利回りは0.109である。
一方ドイツは0.4、フランスで0.7,いづれもこの8月初旬の数値である。
アメリカはといえば2.951である。
わが国とヨーロッパは、アメリカのたちいかなくなった量的緩和政策に代わって緩和政策をしてきた国々である。
うがった見方をするならば、アメリカへの従属度を表わしている数字と言い換えてもよさそうだ。
日銀は7月30−31日に金融政策決定会合を開いた。
そこでの決定は、短期金利をマイナス0.1%、長期金利をゼロに誘導するというものであった。
株式購入も積極的で、上場投資信託、年間6兆円の買い入れも上下に変動しうる柔軟性とした。
東証株価指数連動型の購入割合も拡大することを決定した。
年間80兆円をめどにした国債買い入れにも柔軟性の余地を残した。
わが国の銀行は安全の神様のような国債は買いたくても買えない。日銀が全部買ってしまうのだ。買ったとしても利回りが低くて儲からない。
銀行受難の期間はまだ続く。では、資金はどこに向かうのか。もちろん利回りのいいアメリカに向かうことになる。
結果的にはドルを支えることになる。
ヨーロッパはこの量的緩和政策QEを漸次縮小して今年中には正常に戻す方向に行きそうである。
わが国は、この副作用の大きいQEを今後も続ける方向を選択した。その理由は何なんだととうことほど白けさせるものはない。
あえていうならば、親分アメリカがずっこけたら大変だという思いである。
わが国はアメリカを除いて安全保障を頼れる国は他にない。中国を含めてわが国は外貨準備の一兆ドルもの額をアメリカの財務省証券に投資している。わが国一国で何十兆円もの債権をアメリカに持っている。
アメリカが今いま潰れるということもありえんだろうが、アメリカの企業の倒産は、もろに我が銀行の負担となってくる。
同じことは、いまだ発展途上国である中国にも言えることで、アメリカへの輸出で成り立っている中国は、ドルを支える。同時に輸出に有利になるべくドルを買う。それは自然の成り行きとしてアメリカへの投資を意味している。
長期的にはともかく、わが国にしろ、中国にしろアメリカが、短期的にはずっこけてはならないのだ。
関税問題で痛めつけられている中国としては、怒るに怒れないお互いの事情が深く絡み合っているとみるべきであろう。
中国の弱点は、一言でいまだ発展途上国であるという一語に尽きる。まだ、アメリカにおんぶされていないとだめな状況だ。それは、わが国よりも深刻なことかもしれない。
わが国の弱点は、政府と大学である。強みは企業の技術開発に向ける資金のパーセンテージはアメリカのそれを凌駕する点である。
アメリカとしっかりとリンクしたわが国は自由を捨てて、安全を選択した国である。それが、核の問題を棚にあげて従属から開放されましょうと叫ぶのは現実的ではない。
わが国は中国の周辺国であるにすぎないのだが、その中国が成熟国になるまでには、まだ30年、40年先の話である。
世界の民主主義の敵になりそうなアメリカではあるが、外務省は、将来のアジアをプロデュウスすべきをアメリカ一辺倒にプロデュウスしている。それも短期的な思考である。
からはほど遠いことの桎梏かもしれない。