さりげなくニュースNo.310
「混沌化する世界」
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アメリカ側のトランプ大統領は、わが国の法人企業に圧力をかけてきた。
イラン核合意離脱に伴うイラン原油の世界からの排除要求だ。
イランとの原油取引をなす邦人の銀行はアメリカの金融市場から締め出される恐れがある。死活問題だ。
7月12付け日経電子版によると、三菱UFJ銀行とみづほ銀行は、イラン関連取引を全面停止する方針を固めた。
英、独、仏は、欧州企業への制裁適用除外を求めていたが、米国は正式に拒否した。
一方中国、トルコ、インドは、輸入継続の意向をしめしている。
イランの日糧80万から200万バレルを埋め合わせるには、余力のあるサウジアラビアに白羽の矢がたった。ただ、増産には技術的に危険が伴う。
ところで、イラン側の対応は如何に。
手始めにイランは、この16日にアメリカを国際司法裁判所に提訴している。
ヨーロッパ5ヶ国は、引き続きイラン核合意の継続をアメリカ抜きで推し進める方向である。
こういう動きの中にあって、イランの強行手段も取りざたされている。
イランによるホルムズ海峡の封鎖である。これはサウジアラビアに大打撃となる。
アメリカという国はいつから、かくも理不尽な国に成り下がったのか。思いつくところでは、嘘を平気でつくようになったブッシュ、ジュニアのイラク戦争の頃からであろうか。
ここ半世紀間、ヨーロッパ、日本の経済力を抑え、わが世の春を謳歌してきたアメリカ、陰りが見え出してきた。
経済にあって、軍事技術、航空産業、バイオテクノロジー分野では優れてはいるものの、全体的には、消費国家になっている。それも、世界の中央銀行を所有しているものとしてのアメリカの素顔である。
この経済の衰退傾向は、多方面にわたってアメリカの焦りを生んでいる。
かつては、全体主義に対する民主主義の守護神のような役割を演じてきた。それがいまでは、自分の国一国の利益を確保するのにあっぷ、あっぷしている。
北朝鮮問題では、一番の利害国中国を差し置いて、小国への力の見せしめをなし、中国へのジャブの繰り出しであった。
今回のイランへのジャブの繰り出しは、イスラエルの安全保障という問題が大きく関わってきている。
イスラエルとイランの敵対関係にアメリカが助っ人としてはせ参じたという図式である。
経済的な面で深読みするとすれば、それは、ユーラシアに経済の中心が移りアメリカが置いてきぼりにされるといった根源的恐怖に、その根っこがありそうだ。
なにはともあれ、歴史的に二度、三度戦いを交えてきたドイツとフランスがドゴールとアデナウアーの握手で欧州国ができてしまう。その結果安全保障上でアメリカから巣立ってしまう。アメリカにとっては根源的な驚きなはずだ。
話題がそれるが、戦争にまみれて来たドイツとフランスにできたことがなぜ日本と中国の間にできないのか。
儒教の生まれたところは中国である。その国が一番に商人の風土を養い、一方のわが国は一番の情緒国民となっている。あまりにも歴史的関係が深いために一旦近親憎悪の関係になると根が深く、ヨーロッパのようにはいかないのかもしれない。また、イデオロギー化した親米は自ら知識人であることの放棄を宣言したようなものに見える。これらの複合としての日中関係であろう。
からはほど遠いことの桎梏かもしれない。