さりげなくニュースNo.306
「米朝トップ会談は停戦協定まで
いきつけるか」
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5月16日米CNNテレビが報じた。ロシア疑惑を捜査するモラー特別検査官は、大統領を起訴できないとする司法省の指針に従うと伝えた。
トランプとしてはひとまず山を超えたといったところだ。ロシア疑惑は、イギリスの諜報機関MI6の元諜報員で在ロシア大使館を根城に活動していたクリストファー・スティールによる35ページにわたる報告書によって一気に問題化することになった。
ロシアは5年前からトランプに目をつけ工作を続けていた。大統領選挙戦でヒラリー・クリントンに不利になる情報を民主党幹部から収集してそれをツイッターに流すという手法でアメリカ国内の世論に訴えかけた。
ロシアの工作はアメリカ主導の自由民主主義秩序を弱体化させるロシア政府の長期的願望を反映したものであった。多数のアカウントを使い、多額の広告費を費やして、工作員はロシアにいながらにして、あたかもアメリカの住民を装い「メキシコ人は自宅に帰れ」とばかりにフェイスブックで叫び国内の離反を醸成した。
オバマの政権でDIA長官となったフリンはロシアに目をつけられていた。オバマの中東情勢に批判的とみるやロシアはさっそくこの人物に食手をのばした。最も秘密に包まれた軍の諜報組織GRU(ロシア連邦軍参謀本部情報局)の本部にアメリカ人として初めて招待された人物がフリンである。大統領になったトランプにオバマはフリンだけは取り入るなと進言したにもかかわらず1月20日に国家安全保障問題担当大統領補佐官に就任している。この外交を司るポストには、これまでキッシンジャー、コリン・パウエルなど草々たる人物が就任している。
フリンは一ヵ月後の20日に辞任している。最短記録を残したことになる。現在は、強面のジョン・ボルトンが就任している。かれこそ6月12日シンガポールで予定されている米朝トップ会談をぶち壊す寸前の発言をしている。
すなわち、リビア方式という言葉を発したことだ。キム・ジョンウンの態度を硬化させるに十分であった。トランプは間髪を入れずにこのリビア方式の非核化を検討しない考えを示した。
リビアのカダフィー大佐は非核化を完全と飲んだ。しかし10年後国内の内乱に乗じてアメリカに支持された反政府軍によって首を切られた。
トランプはこのリビア方式を否定しつつも次の発言をなしている。非核化の合意に至らなければリビアと同様、北朝鮮も破壊できると警告することを忘れなかった。そもそも北の核開発はアメリカを攻撃する動機ではなくアメリカと交渉するための道具として進められた経緯がある。
シンガポール会談が特別に実のあるものに進化するためには、停戦協定まで行き着けるかが一番に重要なポイントとなる。それには中国、北朝鮮、アメリカの三ヶ国による合意を必要となる。独裁国家北朝鮮と皇帝となった習近平の中国は問題ないが、アメリカの場合、議会の承認がなければ協定は日の目を見ない可能性がある。ただ、朝鮮戦争は議会は関係なくトルーマンの発案だということから、かならずしも終結に議会の承認が必要なのかということである。トランプの一存で停戦協定に進みうるかもしれない。(5月24日にトランプはシンガポールでの米朝首脳会談を中止すると発表した)。