さりげなくニュースNo.303
「わが国は米国と一蓮托生」
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わが国とアメリカは一蓮托生である。中国は自我を強力に出しつつある。ケ小平が遺言ともいえるアメリカへの気の使いようが嘘であったかのように、今の中国はアメリカに挑戦しようとしている。
驚いたことはこの1月10日の米ブルームバーグが報じた記事だ。中国関係者の話として、中国政府は米国債の購入の減額や停止を検討しているというものだ。
中国の米国債保有高は世界最大で1兆1900億ドルである。かかる発言の理由として、米国債の発行増にともなうリスク、あるいは、米中間の貿易摩擦があげられている。
市場は敏感に反応した。10年もの国債の利回りは一時2.59%と跳ね上がった。円高ドル安がすすみ1ドル111円27銭の水準になった。米債券市場から資金が流出する可能性が意識され幅広い通貨に対してドルが売られることになった。
極論になるが、ドルが崩壊する要因は、アメリカの消費のしすぎに拍車がかかり、かつまた、金融フローの流入が途絶えるときである。
橋本政権のとき冗談っぽく米国債を売っぱらうぞ発言が波紋を呼んだことが生々しくよみがえる。中国が自我を出し始めた現状において、アメリカはローマ帝国なみの軍事力を有してはいない。おのずと、アメリカの権力は周辺部朝貢国の指導者階層の同意なしには成り立たなくなってきている。
わが国の動きとしては、昨年11月から連続2ヶ月米国債は売り越しとなっている。その額は1兆1775億円である。対ヨーロッパでは、3ヶ月連続1448億円の買い越しである。資金が微細ではあるがヨーロッパにシフトしだしている。
アメリカを投資先として選択するのは安全性が至上命令である。これは、強力な軍事力を背景に経済と金融のグローバルゼーションという政治的、帝国的な考え方に近づけるものだ。この帝国というものにあって失敗した例はナチズムである。その徹底した民族中心主義が足枷となった。現在のアメリカのイデオロギーは、普遍主義からますます遠のきだしている。周辺の国々、民族を中心部に集めて発展していくという帝国の原理からはずれてきている。
帝国における徴収率が一定限度をこえ、資金運用の安全性欠如が一定水準をこえようものなら、この帝国への加盟がもしかしたら妥当性を欠く選択となってしまう。
これとの関連で、日米、欧米間の金利差は絶対的必要条件である。
米国FRBがQE(量的緩和政策)を止めると発表した数日後に日銀はまるで肩代わりするかのようにQEの規模拡大をなす決定をした。QEは中央銀行が資産を大量に買い取ると宣言することである。だが、いかんせん銀行には国債以外にめぼしい資産がない。それだから、消費者金融市場に直接的な影響をあたえることはできずに、ただ国債の流通発行環境を改善する効果ということになった。
現在、日米間の金利差は米国の0.75%、わが国の−1.0%である。