さりげなくニュースNo.299
「わが国は北朝鮮の核保有に冷静さを失うのでは」http://yumin.tyo.ne.jp
ピョンチャンオリンピックに北朝鮮は参加する方向に進んでいる。一見当事国同士で雪解けを演出しているように見える。だが北の核開発をめぐる当事国はアメリカである。そのアメリカが、オリンピック終了とともに、間髪を入れずに韓国と一緒の、軍事演習を再開するかどうかである。軍事演習とは戦争に発展させる意思表示そのものであるから、その軍事演習をなすかどうかがアメリカの今後の行動を占う、最重要なリトマス試験紙である。
わが国は北に対して経済制裁を強めることに最右翼の国である。ここで純粋な疑問が沸いてくる。それは、経済制裁を強めると、なぜ北の核の放棄につながるのか、ということである。
そもそも北の核の開発動機はアメリカからの、体制転覆を恐れての、自衛のための止むに止まれぬ動機からである。なぜそれほどまでにアメリカから憎まれなければならなかったのか、それは知らない。全体主義国家だからなのか、あるいは、朝鮮戦争での平和条約をいまだ結んでいないためなのか、それとも北の人民を民主主義の旗印のもとに開放しようとするためなのか、いづれも詭弁にみえてくる。なぜなら北の恐れるところは、リビアのカダフィーの末路であり、イラクのサダムの運命である。アメリカの論理での、北の転覆という恐怖を植えつけなかったなら、北の核の開発も意味をなさなかった。ロシアの研究者の北を見る見方は、北朝鮮は自らが仕掛けるよりは、やられたらやり返すタイプであると分析している。
ついで目に付くのは隣人である大国をうまく巻き込むそのしたたかさは天下一品である。中国には、駄々っ子のように聞き分けがよろしくない。朝鮮半島がアメリカの手に渡ることは絶対に認められない、それが中国だ。ロシアは、北の核開発は朝鮮半島の安定化に役立つとみている。それは、北の安全保障に自信がもてて、アメリカによる軍事攻撃を抑止できるという点においてである。
わが国の場合は非常に複雑であろう。韓国は中国に取り込まれるのは時間の問題である。東アジアにおける安全保障にあって、核を保有する国々から囲まれることになる。核を落とされた恐怖を味わった国には、核の保有は認められないという論理に説得力があるだろうか。はなはだ疑問だ。隣の中国が成熟国家になり、アジアに共通通貨が誕生したり密接な展開までには30年以上の時を必要とする。実現がしないかもしれない。
わが国の立場は非常に微妙なところにある。モンロー主義にやがて大きく舵をきるであろうアメリカを炊きつけて、核の傘にすがらざるをえないのか、あるいは、覇権を放棄するときの最後の悪あがきに、わが国は付き合わされるはめになるのか、わが国の知識人は主体性を放棄してはならない。
19日、アメリカ国防省による「国家防衛戦略」が公表された。テロとの戦いから転じて中国、ロシアとの競争を最優先事項と位置づけた。米軍の軍事純支出は5,878億ドル、一方、中国の1.617億ドル、ロシアの446億ドルとアメリカの金額が群を抜いている。