さりげなくニュースNo.285
「アメリカ帝国は2050年には
霧散しているか。」
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アメリカ帝国の終焉は秒読みの段階にさしかかったのではないか。帝国の定義は諸国との関係、関わりというところに求めるとするならば、先ごろの「パリ協定」からの離脱宣言は、国際連盟からの離脱に匹敵する独善に写った。ドイツ、メルケル氏の思いは察して余りある。わが国の麻生副総理の唾棄発言はあまりにもアメリカに失礼過ぎた嫌いはあったものの、世界に与えたトランプ政権の独善は、到底世界から受け入れられるものではなかった。
地球温暖化対策の国際ルールである「パリ協定」には190カ国が合意を見、147カ国が締結している協定である。
これまでの地球温暖化に関する政府間パネルにあって紆余曲折があった。人為起源に猛進する科学者の偽データー事件などがあり、混沌とした時期もあった。石油、金、穀物、証券の主要市場をイギリスを経由させることによって、産業のない6,000万人のイギリスを支えてきた発想で、温室化ガス市場をイギリスを中心にすえようとした。新興国の抵抗もあり、地球温暖化を商いに結びつけることには、ある限界が見え隠れした。それに変わって現在はドイツが積極的であり、わが国にも恩恵が深い。
二酸化炭素を地球規模で減らす取り組みは、技術革新へと結びつくことが確信されてきた。わが国でのハイブリッド自動車の登場はその最たるものである。わが国の環境ビジネスは2003年の48兆円からから10年も経たないうちに1.5倍にもなっている。
二酸化炭素の排出量が世界一と二位のアメリカ、中国では見解が逆となっている。削減に反対のアメリカ、賛成、推進の中国である。
トランプ氏の離脱発言が振るっている。合意の条件として、米国の産業、労働者、国民にとって公平であること。これは、とてもアメリカという国の発言ではなくトランプ氏個人のものと考えざるをえない。
世界の軍事力の三分の一を有するアメリカ、この規模はローマ帝国に比してとてもではないが劣る。世界からの朝貢システムの要である軍事力がこの程度であるということは、世界の主要国のリーダーとのコミュニケーションを図らずには経済的朝貢システムを維持すべくもない。そのことはアメリカ自身が一番に気づいていることに違いない。アラブへの見せしめのためにアラブの最高の軍事国家でさえ数週間で壊滅しうるという脅しだけでは世界の主要国リーダーを納得させることはできない。
それにアメリカが帝国から陥落しはじめた明瞭なきざしは普遍主義イデオロギーの減退である。ローマ帝国が自国民と隷属国に同じ法を適用して、かつまた平等に扱い皇帝すら被征服国から輩出するといった政治、経済的普遍主義である。アメリカはことごとく後退の局面にある。属国との関係ではボリシェビキの延長線上にあったソ連の属国への自由の付与は平等的であった。冷戦でソ連が健闘した理由の一つである。
1945年以来の属国は、言わずと知れたドイツとわが国であるが、ここにきて明暗がはっきりと分かれた。EUというフランスの核を得て安全保障に道筋をつけたドイツと、近隣関係で失敗し、孤立主義の道を歩まざるを得ないわが国である。
(参照:さりげなくニュースNo.59,63
http://yumin.tyo.ne.jp/sari8.1.27.html
http://yumin.tyo.ne.jp/sari18.3.27.html)