さりげなくニュースNo.282

「アメリカの北朝鮮への攻撃は数パーセントありえるか。」

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 アメリカ経済が衰退基調にあるのか、それともそれはあくまでも相対的な意味においてなのか。

 第二次世界大戦前、あのニューヨーク株式市場の大暴落の当時、アメリカの工業生産高は世界のほぼ半分近くを占めていた。44.5%を算出していたのだ。その当時と比べたら現在の工業生産高は1兆8千億ドルと中国の1兆7千億ドル、わが国の1兆1千億ドルと大差がない。まったくの普通の国になった感がある。第二次世界大戦直後にあってもアメリカは経済的には世界の一強の立場にあった。ヨーロッパの復興という意味でのマーシャルプランは二つの意味があった。復興の意味はもちろん、世界の総需要という意味ではアメリカそのものが1929年型大恐慌の再来を防ぐ手立てでもあった。ローマ帝国が地中海を制覇して近隣諸国から多くの農産物や物品がはいってくるような経済的帝国をアメリカはもちろん築いてはいない。それはもう少し後になってからだ。それにともないアメリカが軍事攻撃の国になっていく姿は経済帝国の確立と無縁ではない 世界の工業生産の半分を生み出していたアメリカは、イデオロギーの戦いのもと、政治的、軍事的支配圏内にある同盟国のために、自らの市場をこれらの国々に開放した結果、工業生産高は現在にいたっては、普通の国に肩を並べる水準になってきている。

 1994年から2000年にかけてアメリカの体質は顕著に変わってきている。金融、保険、不動産は工業生産高の123%に相当する勢いで価値を生産し続けている。これはカネがアメリカに還流してくるシステムへの経済の体質が変更していく数字的現われである。このシステムがスムーズに機能するためには政治的、軍事的に世界でのトップランナーを走りつづけなければならないという宿命を帯びる。弱くて、あてにならないアメリカの株式に投資はしないし、国債を買いはしない。世界の中心にい続けるからこそアメリカにカネが回ってくる。

 アメリカも努力をしているのだろうか、10年前の貿易赤字は、モノにサービスを含めて7,600億ドルであったが、現在5,000億ドルまで30%も縮小している。ただ中国に関しては、貿易赤字が当時に比べて3倍に増えて3,470億ドルとなっている。わが国やドイツは横ばいに推移している。

 アメリカが北朝鮮に戦いを仕掛けることはまず考えられない。GDP400億ドル、茨城県の規模にすぎない国など、赤子の首をひねるようなものだ。しかし窮鼠猫を噛む120万人の国防軍と20万人の特殊部隊をかかえるゲリラ部隊を相手に、数百万人の犠牲者をも、ものともせずに開戦しうる度胸が今のアメリカにあるか。ありえない。北朝鮮軍の半分を犠牲にしても、残りの50万人で韓国の首都を制覇し統合してしまうであろう。ではアメリカが多数の地上部隊を投入するか、完璧にありえない。わが国の自衛隊は地上戦に参戦するだろうか。あやしいものだ。また難民が中国に大量に押し寄せる事態に中国の動向も無視し得ない。イラクのような訳には決していかないことは自明である。 

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