さりげなくニュースNo.280
「中国の不安定さ
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わが国と中国との違いは家族制度に端を発したところに求められる。日本に共産主義革命が起こりえず、中国には革命の土壌があった。その理由を家族制度に求める視点がある。
わが国は家父長の絶対的権力のもと兄弟間は平等ではない。(強きに従い、弱きをいじめる心性)。長子が一切の相続をなした。他の兄弟は不平等な扱いであった。彼らは家族制度の外に出ることにより己を確立しえた。一方の中国は家族制度にあって平等に基づいている。これはロシア、ベトナムにも言いえることで、この地には共産主義革命が根付いた。
現在の中国においてはいつ革命が起きても決して不思議ではない状況である。所得分配の不平等、貧困層の増大それにともなう格差の拡大。それにも増して一番の深刻なことは、国の富がしっかりと国民に還元されていないシステムによる、十分な年金の準備が、行なわれていないことがあげられる。経済成長が7から8%以上を維持できないとその資金への目途がたたないということだ。
GDP世界第2位の経済は、自前でのし上がったものではなく作られたものであるところに、その危うさがある。日本を初めヨーロッパ、アメリカは中国に投資をする。グローバル企業は労働賃金と品物の売値との差額を利潤としてきた。そうして中国製品は輸出をすればするほどに利潤がでる仕組みをシステム化してきた。中国当局は資金を国民のために使うという発想よりもスターリンの国家経済さながらの、共産党特有の国家管理経済として国外に投資し、国内へはインフラ投資に半分もの資金をつぎ込む経済を作り出してきた。先進国の経済は、消費のウエートが60から70%を占めることを考えると、いかに歪であるかがわかる。
中国はいつ革命が起きても不思議ではない。ジニ係数という数字がある。一人の絶対者が国の所得を独り占めしたなら、ジニ係数は1である。0なら完全なる平等社会である。先進国は軒並み0.4以下なのに中国は.0.73である。もう少し具体的な数字を並べるなら上位0.5%の世帯が全所得の23%の所得をえている。2012年のデータであるが、年収が5万円以下は総人口の9.2%、10万円から21万円の年収の占める割合は22.2%にもなる。以上よりこの相対的貧困層を含む貧困世帯の割合は54.2%に達する。
ついで注目すべき数字がある。最低の読み書きが出来る識字率は、中国にあって95.9%である。政治を語る上でのキーワードである。だが諸外国に比較して高等教育への進学率が17%と極端に低い。これは何を意味するか。ずばりナショナリズムの高揚に政治的に利用される危険を孕んでいる。中国共産党の生き延びのためには、ナショナリズムに訴えかけて、国民の不満を外に向けることが、非常に有効となりえる。このとばっちりを被るのが日本である。常に自虐的で、いつまでも戦争犯罪人の被告席に繋ぎ止めておこうとする、国内の政治一派の傾向があり、中国のナショナリズムの餌食になる因子を、わが国はその内に有している。
わが国の隣人に対しては、隣人の没落に拍手を送る不謹慎さではなく、さらなる技術援助や経済支援を必要とするところである。ただ、中国との地勢学上の関係からロシアとの有効な関係に深く目を向けるとともに軍備の一層の充実を視野におく必要がありそうだ。