さりげなくニュースNo.277
「よみがえるかアメリカ経済」
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先頃マティス米国防長官が颯爽とわが国に乗り込んできて力強い宣言をした。尖閣諸島に関しては日米安保条約第5条を適用するとの宣言だ。
戦後70年、アメリカは、わが国をどん底の恐怖に叩き落した、力強いものとしての存在感である。軍事、力においてはカリスマ的存在者としてのアメリカである。これが幻想であることをわが国はついに気づかないし、気づいていてもそのことについては蓋をする。そうせざるをえない実体を理解してやることが大切なのかもしれない。ただ、世界の動向としては、別な方向を向いてきたことも感じとらないといけない。NATOの一員であるトルコが今やアメリカと一定の距離を置き始めたことはなんらかの意味を含んでいるのかもしれない。かつて大帝国を築きあげた直感という、一文字ではすまされない何かなのかもしれない。それは現在のアメリカやイスラエルについて言えることだが、この両国には普遍性という大切なワードが欠如しだしていることである。この喪失はリーダーとしては欠点となりえる。
前置きがが長くなった。ここに一つの数字がある。
アメリカの貿易赤字は年間5,000億ドル。これは日本の年間予算の半分に匹敵する巨大なものである。このことは生活水準を落とさないでアメリカ人が暮らせるためには一日当たり15億ドルの外国からの資本流入を必要としている。かいつまんで言えば、アメリカを安全だと認識してアメリカに金を貸す国が地球上に多く存在したということである。そうでなかったとしてもそういう振りをせざるをえなかった。ユーラシアにはすべての資源と人の動きと金の流れがある。そこでの優位なポジションを保つための見栄っ張りが中東という弱い国を軍事的に攻め入り、力の源泉を見せ付けた劇場型の戦争が、イラク戦争であった。しかし、もはや経済が力の源であると知ったヨーロッパにはこんなこけおどしは通用しなくなっている。ただ、日本に関しては今後も十分に有効であることは認めなければならない。
アメリカ経済が確実に衰退しだしている数字がある。現在インターネットなどの新テクノロジー分野ではアメリカは優位にたってはいる。しかし産業ロボットなどの産業革命の分野ではヨーロッパ、日本の後塵を拝している。製造業における自動車産業においてしかりである。
今から30年前のデーターで、製造業の付加価値生産をアメリカを100とすると日本は100、西ドイツ65.(経済企画庁の世界経済白書)。アメリカはまだ健闘している。ただこの頃産業ロボットの世界シェアは15%弱に落としている。この分野での日本のシェアは現在57.3%となっている。
自由貿易を信奉し低労働賃金の土地を求め海外に企業は進出し、低賃金化の競争を激化させ、富を一部の者に集中させる結果を招いた。この結果、世界の需要は低下し、その埋め合わせのためにアメリカが消費を請け負うことにより世界の需要に貢献した。その結果できあがったシステムが、現在の貿易収支の莫大な赤字でも、生活水準を落とさずに、消費を続けることのできる借金漬けのマジックである。このシステムに最後まで追従するのが日本である。国是がそういうふうにできあがっているからだ。