さりげなくニュースNo.297

「北朝鮮を取り巻く環境」

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 トランプ米大統領のアジア歴訪が終わった。北朝鮮問題になんらかの進展があったのか。華々しいものは何も聞こえてはこなかった。「ヤルタ会談」なら戦争を徹底的に成し終えた後の処理であった。ナチスのドイツをどうするか、日本をどうするかの話し合いであった。今回それにちなんだ「新ヤルタ会談」の舞台設定は可能だったはずだ。戦争もしていないのだから迫力には欠けるきらいはあるが。

 中国習近平主席とトランプ米大統領との会談では、中国お得意のお土産外交だけが目についた。総額で28兆円の大型商談がまとまったのだ。これは年間の貿易赤字に匹敵する数字である。アメリカが中国を大切にしなければいけないと思う額である。まるでキッシンジャー外交が背後で威光を放っているような錯覚にかられてしまう。

 プーチンロシア大統領との会談がかなわなかった理由がなんとも、なんともといったところだ。事務手続きのミスというものだった。プーチン氏は関係者を処分すると発言している。

 今後、米中ロの三巨頭による「新ヤルタ会談」が開かれてキム・ジョンウン氏なきあとの北朝鮮問題が決められることになる。ここで意外なことは、北朝鮮の核とミサイルで一番恐怖にさらされている韓国と日本が蚊帳の外ということである。韓国という自分というものがなく、強いものにつけばいいといった国は別として、わが国の場合はどうなのだということになる。二百発を超える中距離ミサイル、ノドンに核が搭載され脅かされ続けて生きていくことになる。

 三巨頭会談の成り行きによっては北の核保有は既成事実化される可能性が大きい。

 北朝鮮にたいする利害関係国中国とロシアにとっては緩衝国家としての北朝鮮である。アメリカが一方的に攻め入りそこに軍隊が駐留するということになれば、それは朝鮮半島の版図を塗り替えたことになる。中国としては1950年の朝鮮戦争に30万人の人民解放軍を犠牲にしようとも介入した行動をまちがいなく選択する。

 アジアに関して、アメリカは中国、ロシアを説得しきれなければ、どんな行動もできないというのが実態である。

 人種差別に根を置き、文化的実情も異なり、自らの資源を命がけで守ろうとする気概のある、アラブを13万人の軍隊で支配できるなどと考えて失敗した、イラク戦争の学習は、アメリカといえどもしているはずだ。その後遺症が将来に禍根を残すことになろうとは。すなわちドイツの離反である。独仏同盟へと追いやり、そしてユーロという金融レベルでの武器をあたえてしまった。それに世界における財政分配の方途をヨーロッパに与えてしまった。すなわち、ヨーロッパのカネはアメリカに行き、そこで分配され消費を通してヨーロッパに返ってくる。このシステムを発展途上国の消費育成に舵をきることもできる。そういう意味で、ヨーロッパは世界の財政分配を構想できるということである。

 地の利はユーラシア大陸である。アメリカは、これまでのような力に過信できない環境に置かれて来ている。アメリカは世界を必要としていることを実感しなければならない世紀に生きている。

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