さりげなくニュースNo.295

「アメリカ帝国の滅亡」by seimeiwada

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 中国共産党党大会が10月の25日に終了した。最高の権力機関である中央政治局常務委員の顔ぶれが決まった。ケ小平から権力を受け継いだ江沢民派からは1名、胡錦濤派からは2名、習近平派から3名、その他1名である。

 数字的にみる限りでは均衡のとれたものとなっている。中国お得意の権力闘争を防止するメカニズムとも捉えうる。その前に様々なジャブの応酬があっての結果という捉え方もできる。

 それはそうと、毛沢東は革命の立役者として別格、ケ小平は中国を一流の経済国家に仕立て上げようと並々ならぬ神経を使った。諸国ににらまれない様に、ひっそりと経済の躍進に邁進した。それを受け継いだのが江沢民であり、胡錦濤である。習近平国家主席にいたっては方向ががらりと変わってしまった。明清朝帝国を念頭にそれを超える覇権をアジアに確立しようとの思いである。それは一期目からその萌芽は見え隠れしていた。アメリカ主導の世界銀行というものがありながらAIIBというアジアインフラ投資銀行を打ち立てたことだ。そこにはせ参じた国々が多かったこと、アメリカと日本だけがさやの蚊帳の外という状況であった。アメリカの面子はまるつぶれであった。安倍首相のアメリカでの演説に総立ちの拍手喝采が起こった。アメリカの孤立が強く認識されたまれな出来事であった。

 習近平氏が次に打ってでたのはアジア広域のインフラ整備事業である一帯一路である。これにはわが国も肯定的に対処しようという姿勢である。

 このような力強さ、覇権へのぶれそうにない素顔に接するとき、当然アメリカ帝国のことを考えざるをえない。

 ずばりアメリカ帝国は2050年にはなくなっている。

 アメリカの貿易赤字をみてみよう。1990年から2000年までにアメリカの貿易赤字は1,000億ドルから4,500億ドルに増えている。2016年通関ベースで4,800億ドルである。この数字は中国、日本、ドイツについてだけの数字である。

 この数字からどういうことが言えるか。アメリカは現状の生活水準を落とさずに生活しうるためには、赤字分を諸外国からファイナンスしなければならないということである。アメリカは完璧に世界に依存しなければ生きてはいけない国になっているという事実である。そのためには引き続き世界の中心にい続けなければならない。世界からの貢物を順当に維持し続ける政治力、軍事力に磨きをかける必要に迫られることになる。

 この帝国がローマ帝国に比して軍事力が弱いことは置いておくとしてローマ帝国の法、平和、インフラという恵みを被征服国に分配したやり方、その中でもイデオロギー上の普遍主義が極端に衰退しているという点に尽きる。帝国の名に値しない。つまるところ搾取水準を維持するべく軍事的、経済的強制力が不十分であることに帰結する。

 アメリカの労働者階級は没落している現状で小手先の貿易赤字解消の圧力は徒労に終わる可能性が大きい。

 悲観的な見方をするならば、世界にとってアメリカは政治的に無用な国とならないとも限らない。

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