さりげなくニュースNo.293
「わが国の選択」by
seimeiwada
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第二次大戦で200万人が戦場に散った。原爆投下その他での非戦闘員の死は90万人に達した。終戦を迎えるとただ、ただ安全と生存に拘泥することになる。
吉田茂が一番恐れたことは、国内が左翼化することであった。その芽がなくなった時点でなすべきことをなさなかっのも吉田茂と、その後に続く者たちであった。これが今に続いている日米関係の腐れ縁でもある。結論から先取りすることになった。
1958年第28回選挙で自民287議席、対して社会党は166議席、共産党1議席。
自民党が単独過半数を割ったのは1
976年第34回のロッキード選挙である。社会党は123議席と減らしている。共産党は伸ばしているといっても17議席である。
60年安保、70年安保と自民が単独過半数を維持している。この時点で左翼に、わが国が支配される吉田の心配はなくなっていたはずだ。
では吉田はなにをなさなかったのか
歴史が検証することとなる。
自民党が単独過半数を割ったのはその後5度の選挙であったものの第一党の座は野党に譲り渡してはいない。連立を組んで安定的に政権運営を行ってきた。その安定的という意味にふくまれていることは日米関係のあり方である。アジアに関して言えば、アメリカの覇権のもと日本の経済力を組み合わせてのフレームである。日本、韓国、東南アジアの支配である。ところが、90年代に入り中国、インドといった国々の台頭である。いづれの国も核保有国である。インドはどちらかといえばロシアに近い国ではある。一方中国はアジアにおいて強烈に覇権を主張し始めた国でもある。
ここにわが国は吉田茂の杞憂をずっと持ち続けてか、誰かにどっぷりと保護下にありなんとする。思考停止に逃げ込もうとする。それは楽なことだ。
それにつけ加えるならば、冷戦が終結した時点でわが国がアメリカの保護下にあり続ける意味があるのかということである。
アメリカがわが国を保護し続ける保証はどこにもない。あえてアメリカが恐れるとしたら核をもった日本がお返しとばかりにニューヨークへの核の投下ではないか。アメリカのわが国への核の投下が世界の人道に反する最悪の行為であったことを議論さえしないことが、アメリカの恐怖そのものとなって己に跳ね返らないとも限らない。今回の北朝鮮の捨て身のアメリカへの攻撃の意志はアメリカを一層の衰退へと方向づけることになる。
アメリカは軍事で諸国から見透かされたらそれは致命傷になりかねない。アメリカの消費を支えている諸国の貢物のシステム自体が崩壊しかねない。それは基軸通貨の危機として現れ、アジアの外貨準備金一兆ドルがアメリカ財務省証券に流れている現状の見直しに連なることにもなる。橋本元首相がアメリカ国債売っぱらう発言を可愛いものにしてしまう。
お隣にはまだ未成熟な国中国があり、その周辺国としての老齢にさしかかったわが国がある。今後30〜40年を視野にアジア共同体や通貨同盟に向けた試みをしなければならない。それが、安保理常任理事国でもなく、核もない国の正しい方向への期待でもある。