さりげなくニュースNo.265
「時代は戦渦の臭いを漂わせている」
南シナ海は戦乱のスポットへの序曲か。
先月7月19日に韓国は嫌がらせを受けた。中国主導のAIIB(アジアインフラ投資銀行)副総裁のポストを突然はずされたのだ。
韓国は昨年、中国のわが国に対するマイナーイメージの定着戦略にのった。慰安婦問題は、その鉄砲玉として相当な効果を発揮した。しかし、中国の北朝鮮へのコントロールがうまくゆかず、韓国の危機感を大きく煽ることになった。
韓国はアメリカの強い働きかけにより、わが国との和解をしぶしぶ認めさせられることになった。
ここまでならなにも中国の逆鱗に触れるものではない。
ここで、習近平国家主席が10月に訪米した際のオバマ大統領との会談の異常さを思い起こす必要がある。
キューバ危機を髣髴しかねない習氏の言動に注目する必要があった。
オバマ大統領に脅しをかけたのである。そのワンセンテンスをとりあげるだけなら、中国もアメリカと互角になったと思うかもしれない。その時は中国の力をあらためて印象づけた。
韓国に迎撃ミサイル(THAAD)を配備することは絶対に認めない、と習氏は強い姿勢を貫いた。その結果に対しては責任をもてないといわんばかりの、戦争も辞さないというブラフをかませたのだ。
こういういきさつのあった迎撃ミサイル(THAAD)の配備をこの7月8日に韓国は決定した。すかさず、まちがいなく、その報復としてAIIB副総裁のポストを韓国ははずされた。
中国との経済関係がますます密接化している韓国の今後に暗雲が立ち込める可能性がでてきた。
アメリカと中国の力の関係は、まだ、アメリカに分がある考えてもよさそうだ。
今、世界の重大なトラブルの震源地は南シナ海問題である。
中国は南シナ海近隣諸国を無視して排他的経済水域の拡張に出てきている。この水路の世界経済の航海に占める比率は60%にも達している。南沙諸島の埋め立てという国連の協約に違反して事をすすめている。また、先のハーグ国際裁定の決定的非難の裁定に対しても、無視を決め込む構えだ。
この地域ににおける軍事費の拡大は目を見張るものとなっている。
昨年の中国の防衛予算は$215bn(約20兆円)とみられている。2000年の約5倍にもなっている。わが国にあっても第二次世界大戦以来最大の軍艦建造にみられる。
市場はすでにシナ海の危機を織り込み済みでヘッジに動き出している。軍事の動きと密接な関りをもつ会社に注目する必要がある。わが国であれば、三菱重工業、住友、韓国のHanwha、インドのBharat
Electronics、中国の造船、エアクラフト生産会社である。
1930年代のケインズ刺激策を思わせる流れが再現しかねない。世界のスタグフレーションは解決に向かうと。しかし、それは、死臭の香りを漂わせる終着駅かもしれない。
先頃の邦人(日中友好団体幹部)逮捕で揺れているが、彼は、一方の中国派閥、前主席胡錦濤派(共産主義青年団)に肩入れしすぎたか。派閥がらみの問題だとするならば、冷え切っている我が政府にも如何ともしがたい。