さりげなくニュースNo.264

「世界経済の振動は、中国経済

から出て、中国で収束する」

 

今年になってから中国は二つのことを世界に向けて発信していた。

 一つは李克強首相によるものだ。(成長路線にあって習近平国家主席と考えが必ずしも同じではない。齟齬がある)。それを差し置いても、この1月のステイトメントは意義あるものだ。

 首相は世界に向けて鉄の約束をした。

 中国は輸出刺激策という意味で、通貨のデバリュウション(減価)政策はとらないという宣言である。

 野村のエコノミストによれば、中国の通貨元は6%高いという見方をしている。だから、次期アメリカの大統領候補トランプ氏の吠え方としては、中国はアンフェアな貿易政策によってアメリカという国にラップをかぶせている。という表現になる。

 それは一種、重商主義に立ち戻る諸外国への攻撃と受け止めえる。

 中国の成長モデルは投資に重きを置いた経済であり、借財(ローン)による成長経済でもある。

 近隣窮乏化政策は、他国への失業の輸出でもある。それをもろに見せ付けているのはスチール業界である。

 この10年間で中国の鉄の世界におけるシェアは10%から50%に跳ね上がっている。世界に、これでもか、これでもかとデフレを輸出してきている。このことはスチールに限らず、造船、化学、プラスチック、紙、ガラス、ソーラーパネルに至っている。

 国内経済が内需中心のそれであるならば、デフレの輸出国という汚名は背負わなくてもいいことになる。

 工場出荷額が2.9%落ちていることは数字がつぶさに生産の過剰性を示している。

 これが意味するものが、トランプ氏の言うラップでアメリカを覆っているということの意味でもある。

 中国から政治資金をいただいているかのような噂がある次期大統領候補のクリントン氏であっても、下を向いて口を閉ざしているわけではない。

 まあ、同じようなことはわが国でもヨーロッパでも行われている。アメリカの苦言である。先のG20での発言である。マイナス金利というステレスまがいの通貨の減価政策は大目に見ないといった発言である。しかし、これには別の面でアメリカも恩恵をうけているので、どこまでが真意なのか測りがたい。

 次に、中国が世界に対して宣言したのは、先のダボス会議においてである。世界の投資家や諸外国のお偉い面々に対しての宣言である。

 それは、中国は世界に対して良きプレイヤーでありますという宣言であった。その発言は資本逃避に見舞われ$700bn(70兆円)の準備金の喪失を経験した後の宣言でもあった。

 中国を重商主義、デフレ輸出経済にかりたてるものは、先進国のインフレ期待の成果が期待した以上に出ていないということに集約されそうだ。

 それは世界の10年もの債権利回りをみてみると歴然としている。少しましなところから、アメリカの1.4pc<

イギリスの0.78pc、フランスの0.14pc。悪いところでは、スイスのマイナス0.58pc、ついで筆頭格のわが国のマイナス0.28pc、ドイツのマイナス0.16pcである

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