さりげなくニュースNo.261
「国有企業と中国共産党」
隣国である中国は、先頃のわが国のように、バブルがはじけ右往左往しなければならない雲行きになってきた。
V字型成長モデルは今後望めうるもなく、しいてU字型にいければ御の字と言った期待であろう。へたするとL字のまま突き進むことになるかもしれない。
ソフトランディング、それともハードランディング、はたまた崩壊へと突き進むのか、中国特有の問題をかかえている。
毛沢東が築き上げた共産党の性格というものが共産党が続く限り拭いきれないという性格を持つ。すなわち共産党成立のうえでの戦いにおいて、蒋介石との戦いで勝利するためには悪魔の敵にさえ、蒋介石軍の情報を流すという史実にあらわれている。それは、漢族すなわち市民を共産党の手段として位置づけるメンタリティである。これからの開放は共産党が続く限りなくはならないと考えられる。
このメンタリティが現在の中国経済を苦しめているゾンビ企業である国営企業である。
現在、中央直轄の企業は約100社、地方政府が管轄する企業が約10万社以上である。
国営企業が市場経済より劣ると結論づけられたのは1990年代後半である。時の首相朱鎔基による国営企業改革である。20万社あった国営企業を10万社に減らす身を切る改革であった。レイオフは3,000万人に達した。現在の習近平氏は腐敗の撲滅を声高に叫ぶだけで本質のところには踏み出せていない。
中国特有の繊細な問題がからまってくる。
共産党が経済を支配できなかったらどういう問題が起こるか、まちがいなく民営化の波に続くものは政治における民主化の波である。共産党が主人の国ではなく、人民にかしずくものとしての共産党といった逆転が起こってしまう。だから、国営企業問題では株式の50%以下を限度に株を持たせる方法をとっている。共産党は決して国営企業を手放さない。そこが共産党のレゾン・デートル(存在意義)なのだ。
国有企業の具体的な数字としては、工業生産に占める割合は1998年の50%から2011年の26%である。また中央直轄企業の付加価値額は対GDP10%から12%である。営業総収入の面からは、2003年の32%、2010年の41%と増加傾向にある。
ところで、現在の中国は何が危機的なのか。債券市場にあっては顕著であろう。総額$7.7trillion約800兆円。最近の大きなところでの倒産は造船のEvergreen、食品のNanjing Yurun、太陽熱のYingli Green Energy。
中国の負債総額は概算で$30trillion(約3,200兆円)である。2007年以来、新規だけで、アメリカ、日本、ドイツ、インドの民間銀行の未払い分トータルよりも多いという数字である。
Leverageレバリッジ、すなわち、てこ原理による信用創造は、わが国のバブルがはじけた時、アメリカのサブプライム崩壊前に見るように、GDPの50%ポイントに高まっている。
現在、中国はどのような政策をとっているのか。マネーサプライM1を急激に伸ばしている。一種のデバリューション政策である。
第1四半期のローンは$1.15trillion(約125兆円)でGDP比に換算すると46%である。これは、やがてインフレ、資産バブルを招きかねない。