さりげなくニュースNo.256

「伊勢志摩サミットと世界経済」

5月26日三重県で伊勢志摩サミットが開催される。先進6カ国にEU連合が加わっての会議である。今年で42回を数える。

 ここで話し合われる議題は世界経済とテロ対策が主要な議題になるものと見られている。

 議長国のわが国に難題が持ち上がってきている。中国側からの要請である。

このサミットにおいて、南シナ海問題を議題に乗せないで欲しいという中国側からの要請である。この問題は安倍首相の意思が色濃く結論に反映しそうな事柄である。今もって中国が憎しと思えば、世界に向かって声高らかに中国の領土拡張を叫ぶであろうし、あるいは歴史認識を今一熟慮する余裕があるならば、この南シナ海問題は、中国とアメリカがどのように太平洋地域を分割統治するかの問題でもあり、わが国が影響力を行使できる問題ではないと知りうる。

 経済問題で中国の立場は世界経済に大きな影響力を行使しうる立場であることと、それは他でもなくわが国の経済において、決して過少評価できないことを鑑みて、ここは、中国に貸しを作っておく力量、度量が、果たしてわが国の首相にあるか。それらが問われそうである。それにアメリカを除いた諸外国にとって南シナ海というのは利害もなければ、関心も薄いものであることが、容易に想像される。

 中国の経済は明日にもだめになるようなイメージが定着している観がある。しかし、とても侮れるものでなんかない。最近では中国の通貨元も安定的な動きをみせている。外貨準備金こそ昨年の12月に次ぐ995億ドルをこの1月末時点で減らしてはいる。しかし経済の基調は、住宅価格を取ってみても昨年の10月以降、上昇に転じている。

 世界経済が混沌としだしているなか、中国がリーマンショック後に国内刺激策を高めて世界経済に強く貢献した事実もある。

 ドルナイズ化された世界経済はFed(連邦準備制度理事会)の一挙手一投足で、くしゃみともなり肺炎ともなる。

 Fedは、昨年FF金利をゼロから0.25%、0.5%と2006年以降初めて上げた。これによってドルの債務を有するアメリカ国内の企業はもとより諸外国の負担は一気に高まることになる。このFedの引き締めによって世界は、どこまで耐え切れるのかといった段階に差し掛かってきている。

 一方、アメリカ国内に目をやってみても事態はそう楽観できない。来年にはジャンク債が満期となり、その返済がどっと押し寄せてくる。アメリカの企業は今年から2020年にかけて400兆円強($4.1trillion)の債務義務をかかえている。

 一方で富裕なる石油産出国による政治的な経済の冒険主義が、今も続いている。世界での石油産出ナンバーワンのプライドにかけて、新参者のアメリカ、シェール企業への挑戦が始まっている。これにより石油価格は低迷し、世界中の石油関連産業は窮地に陥っている。

 伊勢志摩サミットの意義は、以上の視点を含みえている

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