さりげなくニュースNo.254

 

次なる景気後退に

世界は、どう備えるのか?

(ヘリコプター、マネー散布か?)

 

デフレ脱却を最大のテーマに発足した安倍政権は、今新たにデフレの病魔との闘いにすったもんだしている。あの手この手を駆使している姿を見るに、それは痛々しげでもあり、また真摯な姿にもみえる。

 成長と雇用を片時も疎かにしない姿勢が、民間の生活に悲壮感を感じさせないラッキーな面である。ただ、前政権が取り決めた消費税の悪影響が今も影響していると考えている向きは少なくないはずだ。

 デフレの退治のために金融政策が使われてきた。物価上率を2%と数字を区切って政策を邁進したことは、大胆な方向であった。量的緩和という大号令のもと国債のほとんどを日銀が引き受け市場に通貨を潤沢に流し始めた。結果は2%の物価上昇には届いてはいない。しかし、やることはやったという日銀、黒田氏の苦渋の表情でもある。従来の日銀のプライドであれば、金融は専門家集団に任せるべきものであり、素人が口を差し挟むものではないということになるのかもしれないが、その専門という垣根を築くことの弊害が指摘されて日が経っていない。その面では政府の意向が色濃く反映しやすい現在の日銀は大胆な政策もしやすくなっている感じがする。

 今回のマイナス金利政策を決めるにあたっては、日銀の最高決定機関の9名うち4名が反対したという僅差が示すように、すべて政府の思い通りに進むというものでもない。だが、専門家が政策において誤るリスクと政府が関与した誤りのどちらのリスクがほんとうのリスクかと考える思考も問われるのかもしれない。

 今回、円高、円安と荒っぽい動きが顕著であった。

 円は国際的に無視を決め込むにはあまりにも重要すぎる。わが国の海外資産は3.5トリリオンドル、約420兆円ある。GDPの72%の規模である。トレーダーにとって円はしっかりと注目すべき存在なのだ。日銀の金利政策は国内外に与える影響を過少評価してはならない。

 マイナス金利を決めたのが1月29日であった。そのときの為替は1ドル121円であった。円安基調はずっと続くものだと誰もが思った。しかし数日しか続かなかった。1週間後には、117円、まだまだ円高は収まらない。2週間後には7%も円高基調である。

 1971の変動相場制導入以来、このような過激な変動は、そうそうは経験しなかったことに相違ない。わが国の従来の対応はもっと素早かったのではなかろうか。財務省は外国為替特別会計というものを持っているのだから、一日に1兆円を何日でも介入できるはずだ。2月19日現在の為替は112.5円だから介入はおこなわれていない。19日の麻生財務大臣の答弁では、介入にはノーコメントと否定はしなかった。

 今回の仕掛け人としてのファンドは、政府の介入の時期を見定めて、ベストなタイムでの売り抜けを図るであろうことは想像に難くはない。

 外国企業が、法廷で一国を相手に裁判を交える時代に、当局者は相当にクレバーであらねばならない。

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