さりげなくニュースNo.243

軍事大国を見せ付ける中国されど中国

9月3日、中国において「抗日戦争70周年」パレードが開催された。ここでの出席者の顔ぶれで注目すべきは、韓国の大統領の出席であった。アメリカからの反対を押し切っての出席であった。同じ韓国人である国連事務総長の潘氏である。

 先進国は、ほとんどの国で大統領は出席を見合わせている。しいて言うならば運命共同体のような関係にあるロシアはプーチン氏の出席があった。

 ドイツやカナダ、アメリカは、大使の出席である。フランス、イタリアは外相である。

 アジアからは、フィリピンを除くほとんどの国が参加した。

 わが国は招待されたにもかかわらず、大使の出席すらなかった。外務省は、これがなにを意味するかは、十分に把握していたはずだ。ここに、官邸の力がどれだけ強かったかを白日の下で示したようだ。

 とにかく、朝貢外交の伝統と面子を大切にする中国の記載に、今後長く留め置かれることになりそうだ。

 本題に戻る。

 この8月に起きた上海証券市場の大暴落は、1929年のニューヨーク株式市場の大暴落、近いところでは、1987年の暴落、1998年のアジア財政危機を彷彿させるインパクトがあった。

 あれから一ヶ月近く経ち、李克強首相は、現在の状況について、状況はまだ、まごついてはいるが、貨幣レートは、適正で、均衡のとれたものであると発言している。

 中国当局は、株式市場の暴落を目の前にして、ただ傍観していたわけではない。ドルペックを放棄して、通貨の管理フロート制に移行した。低めの人民元に導く政策を取った。その結果どういうことが起きたか、中国国内からドルが逃げ出したのだ。資本逃避は、7週間で190bnドル(約23兆円)。

 マカオのカジノは資本逃避のロンダリングに利用されるが、それへの防止のために投資のためのアンチテロ法案を用意したとて、焼け石に水であることは、解りきったことである。

 貿易で蓄えた外貨準備金に手をつけることだ。それはなにを意味するかと言えば、国内の流動性の締め付けとなる。流動資金の増加を低めることになる。景気後退への方向である。

 もはや天文学的な数字になった地方政府の短期、高利債務をなんとかしないことには、如何ともしがたいところまで追い込まれている。政府がその債務を長期の低利債務へと変換して問題の解決にあたることが急務となっている。

 李克強首相は、派閥的には習近平国家主席とは、異なるところからでてきている。両者の関係が良好なのかどうかは、疑問符がついている。運輸とか電力使用量など、独自の経済指標を駆使する首相の手腕が問われそうだ。

 世界がこれまで経験したことがないことに、人民元の動き次第では経験しなければならなくなる。

 人民元の交換比率が、国内のレートから極端に乖離した動きで推移していく時、その時は、世界的通貨危機となりうる。世界は、常に監視体制を強めることを強いられる。

2015.9.13 by K.Wada

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