{デフォルト(債務不履行)と背中合わせの
ギリシャ」
さりげなくニュースNo.236
今、地球上で借金が払えなくて逃げ惑っている国がギリシャである。巷では、こんな見方がはびこっている。
欲しいものはなんでも、クレジットカードで買い捲り、収入もろくすっぽないのに3Dテレビは欲しい、高給レストランの美食には毎週通い詰め。それでは、クレジットデフォルトするのは目に見えている。後は知らないでは、世間では通用しない。借りたものは命を削っても払えと、以前のわが国のようなサラ金地獄が待っている。
ギリシャはそんなものではない。あまりにも彼の国に対して失礼な見方である。むしろドイツを責めて、ユーロを責めてしかるべきという要素がふんだんにある。
そもそものきっかけは、2009年、アメリカが発祥の地であるリーマンショックの翌年、ギリシャ国債は、ヘッジファンドや投資銀行から目をつけられ狙われた。当時の政権は財政赤字を国内総生産GDP比3.7%と発表していたが、実際は、12.5%であることが明らかになるにおよび、ギリシャ国債に対する信用は一気に喪失し、格付けは数回にわたり引き下げられた。この辺からギリシャ経済の降下デクラインが始まった。
ギリシャは立派なユーロ加盟国であり単一通貨ユーロを使い、ギリシャ通貨ドラクマを捨て去った。だがいかんせんユーロの強力国ドイツは工業国である。一方のギリシャは観光と農業国である。東京と過疎県である山形や鳥取が同じ土俵で勝負しても貿易その他で戦えるはずがない。だからわが国では、都道府県の格差をなくして、ともに生き延びる方策として地方交付税交付金という制度を用意している。ユーロにはそんな制度はない。そういうセーフティネットも用意しないで縛りだけが一丁前である。すなわち、財政赤字はGDP比3%以内に抑えなさい。政府債務は、GDP比60%以内に抑えなさい。
ここにいたって、ドイツのメルケル首相は、ギリシャに債務の責任を問う姿勢を崩してはいない。ギリシャが債務を、身を削ってでも返してもらわないことには、自国の銀行が困る。
フランスやドイツの銀行はギリシャの国債を十分多すぎるほどに買っている。返済はもちろんデフォルト(債務不履行)でもされようものならば、国内の金融システムは大打撃をこうむる事になる。さりとて、甘やかしたくはない。債務返済のためには、それは、言葉を変えれば、ドイツの銀行のために、ギリシャは金を工面しなければならない。それには、年金の支給額を減らせ、税金を高くして国民をもっと絞れとなる。これを美しい言葉を借りれば、政府はもっともっと緊縮に精を出し、無駄遣いを極力無くしてとなる。
ギリシャは、国際通貨基金IMFの管理下に入っている。ここのトップは女性のクリスチン・ラガーデさんである。
6月にはいってギリシャの首相チプラス氏は、さっそく今月最初の支払いであるIMFへの3億ユーロの先送りを申し出た。異常な事態だ。IMFには今月トータルで15億4,400万ユーロの支払いが待っている。また、公務員給与と年金支給に15億ユーロの支払いが待ったなしで来る。ただ、ギリシャ政府が改革案をだせば、支援策を今月に更新して36億ユーロの支援をIMFから受けられる予定だ。
ギリシャ政府がすべての改革案を蹴って、しかもユーロから離脱するとどういうことが起きるか。
ギリシャの通貨であるドラクマにもどることになる。外貨建ての借金は踏み倒されることになる。いい面としては、安い通貨のおかげで輸出ドライブがかかり、経済は上向き雇用も改善することになる。
ただ、ヨーロッパにとっての最大の懸念材料を残すことになる。ギリシャをロシアに追いやることになり、安全保障上の問題を喚起することになる。