「中国の実際の成長率は4%半ばという

見方がある。」





 

K.Wada 2015.3.15

さりげなくニュースNo.230

3月5日に中国では、全国人民代表大会が開催された。

 ここで発表された国防費の伸びは、わが国を怯えさせるに十分な規模であった。前年比10.1%増の16兆9,000億円であった。

 前政権時代に、寝た子の尖閣問題に火をつけ、今度は徹底的に中国に反撃された現政権にとって、中国の国防費の5年連続の二桁の伸びは、恐怖以外の何者でもない。

 ヘリテージ財団から茶々をいれられた当時の都知事は、政権運営に未熟な前政権に話を持ち込み、あれよあれよのうちに、後先のことも考えないで、わが国にとっての正義、正当性を突っ走ってしまった。国際的にも、後戻りのできないところまでわが国を追いやってしまった。

 片や敗戦国のドイツは、EUという根城を基盤に、実質的にフランスの核を共有することになりえた。また、わが国が、夢物語を囀っている安保理常任理事国入りという、国連改革をフランスと同じ国になることで、ドイツは果たしている。それに、ドイツの最大の夢の実現はヨーロッパ大統一であるが、それは、ユーロという統一通貨の実現に始まり、まもなく、財政統合が視野にはいることになり、ドイツの夢は直前まで近づいた観がある。

 片や、敗戦国のわが国は、アジアの統一からは程遠い地点にある。アメリカととことん心中したあげくの、その後などは、なにも考えてはいない。成り行きまかせの鎖国に走ろうとも、アジアの統一へと思いを寄せることはなさそうだ。このことは、わが国の意思決定が戦勝国にあるという統治システムにあるからだ。わが国の頭脳部である官僚機構は、その中に組み込まれてあるから、ちょっとやそっとの憲法をいじったからといっても実質的な統治形態に変容はない。

 前置きが長くなった。

 2014年中国の財政赤字はGDPの10%に達したとのIMFの発表があった。

 地方の信用創造は、正規の銀行を通さずに資金を導入するという手口で借金を積み上げてきた。現在は中央当局によりこの手法は規制されている。

 地方は土地の売買で収入を得ているが、それが35%を占めている異常さである。中国経済の減速化にともない昨年の第四半期の土地からの収入は20%以上の減少となっている。財政収入における最大のリスク要因になっている。

 中国経済がデフレに向かっている兆候を数字が示し始めている。

 工業製品の工場出荷価格が4%以上ダウンしている。また、先の第4四半期の資本の赤字は91ビリオンドル、日本円にして約11兆円。

 中国の全体の負債総額は、ここ8年間でGDPの100%から、250%に増加している。26トリリオンドル、日本円にして、約2,800兆円。日本とアメリカの銀行システムの総額に匹敵する額である。もはや、アメリカの国債を購入することからは遠のくシグナルを垣間見るようだ。

 中国の通貨元は、2012年以降、円に対して60%高止まりとなり、ユーロにたいしては、27%の強さである。このごにおよんで、中国が無秩序な通貨膨張政策にでも出ようものなら、それはそれで、世界の不安定要因となりえる。

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