さりげなくニュースNo.250

 「今年、混沌のキーワードはサウジアラビアか。」

 

新年そうそうに石油の国サウジアラビアから馘首処刑というなまなましいニュースが飛び込んできた。

 反逆罪を適用しての47名の処刑であった。このなかにシーア派の指導者であるニムル師が含まれていた。スンニ派の支配層サウジアラビア王室がシーア派の指導者を処刑したとなればシーア派の国民であるイランがだまってはいない。案の定国交は断絶された、サウジの属国であるバーハレーンも同調する。資金援助をしてもらっているスーダンも右倣えということになる。

 中東における横綱格の役者がそろったという感じである。隙あらばイランへの空爆を明日にでも決行したいイスラエルは前面にはでていない。

 サウジアラビアという国は通貨リヤルがドルにペックして30年もなる国である。ドルという信用を借りて、リヤルは信頼と安定感を勝ち得てきた。

 今、ドルペックは立ち行かないものとなりつつある。

 これもあれも、サウジアラビアのジェラシーと不安が混合した成せる業だ。あるいは、この苦難はすべてがオーライといった楽観のせいなのかもしれない。

 アメリカのシェールガスの生産に嫉妬しているのだ。それが高じてシェール企業を潰すまでの経済戦争をしかけている。世界市場に原油をだぶつかせ、原油価格が低い水準になることを戦略として選択した。それはOPECのレポートにもあるようにバレル50ドルの水準を維持することによりアメリカのシェール企業は破産する。そういう方向で事はすすんでいかせようとした。

その後に価格を元にもどせばいい話しだという思考である。

 その間、サウジアラビアの経済は想像した以上に悪化しだしている。国際通貨基金IMFの見方では、サウジの赤字は140bnドル、約16兆円。バンクオブアメリカの見方では、原油価格がバレル30ドルで赤字は180bnドル、約21兆円。ドルとのペックが崩れる点とみている。(ロシアは対ドル60%ほどルーブルは弱くなっている)。ヘッジファンドや投機筋が暗躍を始めている。資本逃避も加速しだした。

 サウジ財務大臣は、赤字幅は前年より15%増加していることを認めている。

 2030年には、公的負債は、対GDP比140%、赤字は二桁と、国家破産も視野に入ってきた。こんななか、王室も動き出してきた。30才になった王様代理のプリンス、モハメッド・ビン・サルマンは"オイルを超えて"という掛け声の下テクノクラートを集結し経済のリフォームに取り掛かりだしている。

 国内に同じ思想をもつスンニ派の過激派をかかえているサウジ王室にとってひとときも気が休まることのない2016年の到来である。あのオサマ・ビン・ラーデンの思想を培った土地である。今度、これらの過激さがいつ国内、それも王家に向かわないとも限らない。今までは金に糸目もつけずに押さえてきたが、金の切れ目が縁の切れ目ともなりかねない。

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