さりげなくニュースNo.247
「 原油の供給過剰、OPECの戦略」
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この12月4日にウイーンで、石油輸出国機構OPECの会議が開催される。
サウジアラビア主導のOPECは従来通りのカルテルで、1バレル50ドルを下回る原油価格に導くはずだ。
これに対して財政危機のもっとも激しい、OPEC創立メンバーでもあるベネズエラは心中おだやかではない。 国家破綻の危機に直面しているのだ。せめて、減産体勢を維持して、バレル75ドルにはもっていきたい。裕福ではないエクアドル、アルジェリアを含めた国々の切なる嘆願でもある。しかし、サウジアラビアの前に、それもむなしい叫びとなって終わることになりそうだ。
裕福な国サウジにしても、バレル50ドルではとてもやっていける水準ではない。財政黒字化のためにはバレル99ドルが必要だ。ロシア、イランにしても同様であり、OPECの加盟国であるイランの場合は、バレル130ドルが水準でもある。ロシアにしても、財政の黒字水準はバレル100ドルを必要としている。
産油国の富、50兆円から、100兆円を失ってまでも守らなければならないものとはなにであるのかという疑問が湧いてくる。
アメリカのシェールオイルに対する恐れがある。原油価格がバレル50ドルの水準が続くならばシェール企業は採算割れとなり倒産が続出するという読みである。
シェールオイルへの恐れももっともである。現在OPECの日量は3,000万バレルである。2013年、14年のシェールオイルの生産量は日量1,300バレルから1,600バレルとOPECの生産量の半分近くまで推移していた。いまでこそシェールオイルの生産量はOPECの20%程である。
現在原油は世界的にだぶついている。供給過剰である。世界の備蓄は過去最大で30億バレル(IAE)である。世界の石油需要は日量9,460万バレルであるから、世界は優に30日以上の備蓄を有していることになる。
OPECとしては、原油の低価格を維持して、この供給過剰の市場にOPEC加盟国の原油で満ち溢れさせようと目論む。
ロシアはシリアの空爆で物入りが増えるのは目に見えている。サウジアラビアにしてもイエメンの内戦に関与しだしたということは、これも物入りになることは明白である。原油価格を引き上げる減産には応じようもなく、増産に精出さないといけない国内事情をかかえている。このことは、原油の供給過剰な市場に、さらなる過剰感を引き起こしかねない。
イスラム過激派組織の石油施設の支配が行われている。かつてサウジアラビアの主要な石油施設アブクワイク油田が攻撃されたことがあったが、数名でのアタックということで事なきをえた。ところが現在のISIL規模での戦闘では、ただならぬダメージが予想されそうだ。ただ、サウジアラビアはシリアのアサドを倒すという一点でISILとは協調関係にある。敵対はしていない。しいて敵といえばイエメンで、ホーシー派を支持するイランである。また、イエメンでイラン共々敵対するアルカイダである。
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2015.11.22 by K.Wada