今後、庶民の財布は固く閉じられるであろう」



 

K.Wada 2014..9.14

 最近にしては、久々に嬉しい出来事は、インド新首相の、最初の訪問国が、わが国であったことだ。
 
 これまで戦後70年間自虐思考に纏わり付かれてきた、停滞の一因となってきた思考から、少しでも解放されたかのような愛され方を味わった。こういう国は大切にしなければいけない。
 
 インドは中国とは領土問題をかかえている。戦勝国の論理を際限も無く引っ下げて、尖閣はいざ知らず、沖縄へもその蝕手を伸ばす兆しの中国。
 
 沖縄県民が、本土のあまりもの理不尽さに業を煮やした結果、独立の気運が高まった時に、沖縄への中国の介入がないとは言えない。
 
 中国が血の同盟を誇ってきた北朝鮮との関係が最悪の状態である。経済における方向性が、中国にぴたりと寄り添っていた故張成沢をキムジョンウンが処刑した頃から中国の態度は変わってきたように見える。
 
 それ以上に北の核実験は、とても中国には許せるものではない。北が核を保有することは、ことさら排除する理由はなにもない。ただ、核実験という隣国に対する刺激を中国は一番に恐れている。
 
 同盟国アメリカの国力が衰退し、アメリカ大陸と南米に閉じこもるモンロー主義に転換しだした時、必然的に、わが国の安全保障にとって、核が視野に入って来ざるを得ない。それは、中国にとっては、悪夢であり、どうしても排除するであろう。
 
 中国経済圏に取り込まれた観のある韓国にいたっても核の抑止力は魅力であろう。先頃のNATOの制裁志向に対して、すかさずプーチン氏は核戦略の増強という揺さぶりをかけることを忘れなかった。
 
 欧米のロシアを究極までは攻めきれない現実を世間は目の当たりにした。
 
 北朝鮮は、このままダダをこねていると中国による金一族排除のプログラムが作動しだす。どの時点で中国に完全となびくのか。5年内外が、一つの山であろうと見られている。
 
 さて、本題に移ります。
 
 デフレという最強の病気と戦うためにアベノミクスが用意した兵器は、日銀による政府公債の無尽蔵の買取りであった。インフレを引き起こして景気浮揚につなげたいという思いがある。
 
 進捗状況は如何に。
 
 インフレ率は1.3%であり、目標の2%までは遠い。
 
 そう遠からず政府公債の買取り額はGDPに達することも懸念されだしてきている。
 
 ここでも橋本政権時と同じように、景気浮揚が第一条件であるはずなのに、その目的をへし折る消費税アップというプログラムが、今回も働くことになる。
 
 マネタリーのエクスパートであり、「マクロ経済における原因と効果」(cause and effect in the macroeconomy」の論文で知られる2011年のノーベル賞受賞者クリストファー・シムズ氏は、今回の消費税増税を、景気がもう一つよくなるまで待つべきだったと言っている。そんな言及など、どこ吹く風、次の10%に向け内閣の布陣を固めたかに見える。
 
 庶民の防衛策は同じく作動するはずだ。今後貧しくなる臭いをかぎだしたら、財布の紐は硬く硬く閉じられるはずだ。デフレの根っこを拡げることになる。
 
 庶民というものは今も昔も、絞りきっても、まだまだ搾り取れると見られている。

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