K.Wada 2014.7.27
連邦準備制度理事会(Fed)のイエレン議長は、この10月には緩和政策QE3を極端に縮小すると発表した。
それは市場に金をばら撒かない。これまでより縮小するということを意味する。
失業率は6年前の水準まで戻したことも理由の一つにあげていた。ただ経済の力強さは無いことを認めている。
IMFのデーターでは、世界の中央銀行が昨年債券購入に積み上げた額は774bn(約7,740億ドル)から約12兆ドルに跳ね上がっている。
わが国の場合では、新たな政府起債の七割を日銀が購入しているという状況である。これは、民間銀行にはBIS規制というものがあり購入面では限界があることによる日銀の登場と言うことになる。
中央銀行が見境無くプライベートな債券市場にも参入してくると、政府系ファンドは別として、ファンドは進入しづらくなる。
こんな、そんな理由からではないだろうが、このところストック市場はバブルの様相を呈してきた。
世界のエクイティ(株式)市場のピークの年は2007年に大きな山を示し、続いて2009年の山、そして2014年の山である。
2008年はリーマンショックが世界を震撼させた年でもある。前年の株式市場が好景気に沸いた事実がある。
今囁かれている逆張りは、新興国マーケット(emerging market)、長期もののドル、長期ものの債券市場への投資である。裏を返せば、これらは非常に危険であるということだ。
新興国で重要な国は中国である。経済成長率は7%台と鈍化基調にある。この漢民族の支配の正当性にきっちりとしたところがないのが一番の弱点である。西洋がたどり着いた正当性である、民主主義という思想は、まだ耐久年数を超えてはいない。その意味からいっても欧米の場合は、権力の転覆への動乱の要素は少ない。
中国の場合は、一党独裁である必然はどこにもない。ただ権力を奪取したものがイデオロギーを基盤とした一党独裁であったにすぎない。それは次なる権力によって、いつでも取って代わられることを否定するものではない。
これまでの歴史的流れからいって、経済成長率が普通の国のように1%、2%台になったときが危ない。たぶんその時は、大きな宗教集団が核となり現在の権力に立ち向かうことが想定されそうだ。
つぎの逆張りであるlong bondはどうであろうか。
中国、ロシアを中心とした第二の極であるBRICSは、やはりまだ世界経済を牽引するには弱さを否めない。ましてユーロ圏は一歳児が立ち上がっては転び、また立ち上がっているという状況である。国家統合の、世紀の大実験は、そんなに軽々と克服されるほど甘くはない。
中東にいたっては、イスラムという教え、思考とマジに向かい合うことを迫られる。カリフの突然の失脚、政府転覆は日常茶飯事と見なければならない。それに対するリスクと、ファンドはいつも隣り合わせだ。
イスラエル、パレスチナ問題は、イスラエルとエジプトの間に留まっている限り、たいした問題ではない。ただここにサウジアラビアとイランが全面に係わりだした時、世界は震撼せざるをえなくなる。
一番深刻なことは、アメリカの統計の背後に隠された実体を覗いたときであろう。アメリカ国債を世界一買い溜めている中国も無傷ではいられない。
激震は意外にもアメリカあたりから来ることも考えておかないといけない。