By kiyoaki Wada
アジア太平洋地域の紛争は、有り得べくして有り得るといった時代の必然である。 中東やアフリカの紛争は、地域内に閉じ込められている。アジア太平洋の紛争は世界経済に与える影響ということからも影響力は半端ではない。
1月の21日からスイス、アルプスに集った2,000人。ダボス会議の開催だ。その基調演説にわが国の安倍首相が指名された。主要国では、2012年のドイツ、メルケル首相以来だ。
安倍首相はアベノミクスの名のもとわが国への投資を力強く訴えた。また、中国との関係では戦争前夜であることを暗に表現した。
これまでの各国首脳による演説は母国語がほとんどであったが、この度の安倍首相は英語であった。
世界は安倍首相の靖国参拝に大きな危惧感を抱いている。小泉前首相が靖国を参拝するのとは意味合いが違う。小泉氏の場合は本質がポピュリストであり、いざと言う時のコントロールがきくという安心感がある。それは北朝鮮外交の独善から一転アメリカナイズされコントロール化に至った。事実から見て取れる。現在の安倍氏は日本ハンドラーの警句にも耳をかさず、アメリカ側としては先頃訪米した前外務次官で、現在の安倍外交の実質的遂行者である谷内氏にしっかりと安倍外交の危うさを知らしめたはずだ。しかし、真意が伝わったのかどうかは現在のところはっきりとはしていない。
現在のアジア太平洋地域の紛争は中国という国家の隆盛期と期を一にしている。。100年前のヨーロッパと同じである。隆盛するドイツのもとこれまでの世界秩序は揺るぎだす。フランスとの対立にイギリスやソ連がどう絡んでくるのかと言う点で、日本と中国の対立にアメリカがどう係わってくるかの類似性である。アメリカは戦争に引っ張り込まれることを極力警戒しているはずだ。それに北朝鮮という火薬庫をかかえてもいる。小さな紛争に火がつき大発火することも十分に考えられる。
わが国は消費税率を上げた。税収は30兆円から50兆円に飛躍的に伸びることになる。軍事備品の伸びも一年前に比べて23%の伸びとなっている。また、第二次大戦以来の大型船の進水も行っている。徐々に平和のための戦争準備にスタンバイしつつある。世界はこの動きをしっかりと、しかもじっくりと見つめているはずだ。言うことを聴かなくなった政権あるいは、トップをすげ替えるには様々な方法がこれまで使われてきた。スキャンダルは一番手っ取り早い。あるいは民主的な方法で、小泉−細川連合を勝たせて、ここから一気に政界改変に進ませることも考えられる。暴力的手法は日本という民主主義国家には似つかわしくないので決して採用はされないだろう。
自国が飛ぶ鳥を落とす隆盛国家であると自覚しつつある中国が、衰えたとはいえGDPで倍の規模を持つアメリカに、簡単には引導を渡せない。それに、尖閣問題で中国が考えたことは、日本は経済的に中国に依存しているから政治的な問題はねじ伏せうると考えてきた。だが最近では日本からの直接投資が減りだしたため、ビジネス界や地方ガバメントの方面から強い憂慮感が引き起こされてきている。中国に進出している企業がもたらす雇用、投資、技術移転の恩恵を失ってならじという思いに気付きはじめているかのようだ。